在世フランシスコ会を理解し補佐するための 兄弟たちの養成ガイドライン (霊的総補佐役協議会) |
||||||||||
1999年改定第2版 ローマ |
||||||||||
前文 この「在世フランシスコ会を理解し補佐するための兄弟たちの養成ガイドライン」は、在世フランシスコ会総補佐役協議会によって作成されたものです。総補佐役たちは、修道者と在世会のフランシスカンたちが「主に向かう道を共に歩んでいく」(1)ためによりよく自分たちを準備する必要に応えようと考えました。 同じ霊的家族に属することによって要求される相互理解と生き生きとした交わりが存在しますし、またすべてのフランシスカンの間にも発展されるべきです(2)。様々な部分に「教会の使命により効果的に参与するため、協力と贈物の交換に関して、それぞれの努力を総合させることができますし、またそうしなければなりません」(奉献生活とその使命」54)。この贈物の交換は「しばしば予期していなかった豊かな洞察をカリスマのいくつかの側面にもたらします。カリスマをより霊的に解釈することに導き、そこから使徒職への新たな活動の方向性を描くことに役立ちます」
(「奉献生活とその使命」、55)。 在世フランシスコ会の会則と会憲は(3)、同じ霊的家族に属するという原理をしばしば確認します。会則と会憲は活発な相互の交わりと、第一会(OFM,
OFMConv., OFMCap)および律修第三会(TOR)が持つ司牧的世話と霊的補佐の義務について触れています。在世フランシスコ会と第一会および律修第三会の間には、事実、二重の実習的な関係があります。 ・共通のカリスマを分かち合うこと。 在世フランシスコ会会則は、在世会とすべてのフランシスカン家族それぞれとの間に存在しなければならない。「生命を与える結合」を語ります。それは、様々な方法と形態で、共通の熾天使的師父のカリスマを教会の生活と使命に現前させるためです
(cf. OFS会則、1条)。 ・霊的、司牧的に補佐すること。 この「交わり」の帰結として、長い伝統に従い、「適任でよく準備のできた修道者」を通して霊的な補佐を確実にすること、在世フランシスコ会の兄弟会を司牧的に訪問することは、第一会および律修第三会の上長たちの所轄です。(cf.
OFS会則26条)。 「その生活、養成、兄弟会の組織を刷新する」ことを公言した在世フランシスコ会は、霊的補佐が最新のものとされ、フランシスカン家族の他のメンバーとその単一の使命に動的に調整されることを期待しなければなりません。「奉献された者たちは、他のすべての前に、彼らが霊的生活への経験ある道案内者でなければならない。そしてこの観点から、最も貴重な贈物−−霊を培わなければならないことを思い起こさなければならない」(「奉献生活とその使命」、55)からです。 ファティマでの在世フランシスコ会総会(1990年)は次のように言います。「霊的補佐役自身を励ます役割に関して、特別な養成の必要があります。つまり、在世フランシスコ会に関して兄弟たちを準備することです。この準備はすべての兄弟の初期および生涯の養成計画の中で意識されていなければならない。たとえすべての兄弟が霊的補佐役ではなく、また将来もならないとしても、すべての兄弟が自分たちの個人的召命の実現のために在世フランシスコ会の真に本質的な役割を知り、理解し、肯定することが必要です」(4)。 ローマでの在世フランシスコ会総会(1996年)は、その結語の中で次のように言います。「全国評議会との共働きの中で議長団は、在世フランシスコ会に関するより適切な養成を促すための方法や機会を見つける。それは、在世フランシスカンたちの生活様式をより良く生きることができるよう。霊的補佐役たちが助けられるためである」(5)。 「修道会による規整」を受け持つ修道フランシスコ会は、「相互に生命を与え合う統合」の原理を会得し、法制化してきただけではなく、総長や管区長たちが、書簡や様々な意見表明によって、兄弟たちが在世フランシスコ会をさらにより良く知られるよう、絶えず勧告し、霊的補佐役の適切な準備を養成してきました。 本ガイドラインはすべての修道フランシスカンに提示され、フランシスカン家族内において、また教会と世界における在世フランシスコ会の使命についての「認識を得るため、そして霊的補佐役の奉仕に呼ばれた者を準備するために「養成計画」の中に組み込まれることができます。 在世フランシスコ会について教えるためのプログラム 1.志願期 a.聖フランシスコの生涯。三種の修道会の「創設者」であるフランシスコ。 b.フランシスカン家族についての一般的紹介 ・第一会:小さき兄弟会(OFM,
OFMConv. OFMCap) ・第二会:聖クララの修道会 ・「悔悛の兄弟姉妹」の第三会。 ・在世フランシスコ会(OFM,
ヤング・フランシスカン、子供フランシスカン、準会員、聖フランシスコの友) ・在俗会 ・その他のフランシスカン運動 c.在世フランシスコ会兄弟会およよびヤング・フランシスカンとの最初の接触。 a.
聖性への普遍的召命と修道者への召命という一般的テーマにおいて、教会の使命ために生命を与え合う統合において共通のカリスマを分かち合うものとして在世フランシスカンの召命を語る:「行って、わたしの家を修復しなさい」。 b.
フランシスカン家族の歴史を扱う際に、悔悛者たちと第三会の起源について語る。 c.
第一会、第二会、第三会の会則を読む。(1223年の裁可された会則、1253年の聖クララの会則および、1293年のいわゆるウルバン会則と呼ばれる聖クララ会の会則。在世フランシスコ会のために、1978年のパウロ6世による「熾天使的師父」(Seraphicus
Patriarcha)、律修第三会のためには、1982年のヨハネ・パウロ2世による「フランシスカン的生活の決意」(Franciscanum
vitae propositum))。 このパラグラフで提示されていることは、修練後の養成計画に付け加えるその他の教材として理解されるべきではないと覚えておくのは助けとなるでしょう。むしろ、示された次元において、歴史や霊性、教会論、社会教説その他の現在の教科材料を発展するものと理解すべきです。 a.
フランシスカン家族の歴史、在世フランシスコ会の何世紀にもわたる具体的改革を含めて。自分たちの国における、その存在と発展。第一会との関係。在世会から生まれた新しい修道会や女子活動会。 b.
新しい会則や会憲による在世会の本性、独自性、構造の認識。その在世的性格と会の一体性を強調する。 c.
教会を神の民、交わりの民とする見方を指摘する(教会憲章、現代世界憲章、1985年世界代表司教会議の最終文書)。 d.
一般信徒の役割について認識を深める。教会の使命における聖職者と信徒との間、および修道者と在俗者との間の協道責任性と協力について。 e.
教会の社会教説(「レールム・ノヴァールム」以後の教書)の学習において、信徒の義務と責任について特別な注意を払う。 f.
在世会への霊的・司牧的補佐の本性について認識を深める。補佐役と在世会リーダーたちの団体性と独自性。 g.
次の文書を読む:非裁可の会則(1221年)、Memoriale
propositi (1221年)、ニコラオ4世のSupra Montern (1289年)、そしてレオ13世のMisericors
Dei Filius(1883年)。 h.
霊的補佐役に案内されて一緒に司牧的経験を持つこと。在世フランシスコ会兄弟会の様々な局面における兄弟会の集会、祈り、祭儀に参加すること。 共通のカリスマを有することによって、また教会におけるあかしのしるしとして、相互の交わりを実現するために、第一会、律修第三会および在世フランシスコ会の会憲と規則の指示に従い、兄弟たちと在世会員たちは以下の事柄を行わなければならない。 a.
特にフランシスカンの祝祭において主要な典礼を準備し、一緒に執り行うこと。そして、共同の祈りを経験すること。 b.
場所と時代の必要に従って、共同の司牧、慈善、社会活動を「大胆な」発想によって計画し、実行すること。 c.
信徒の神学についての文書を一緒に学習すること(cf.
3/d)。 d.
共同の会合、集会、霊的集会議や霊的修養を企画すること。 e.
養成の会合や集会議の開催において、在世会員が出席し、挨拶あるいは傍聴する機会を計画すること。 霊的補佐役への養成 A.準備(準備のための講座) 新しい霊的補佐役は、彼らの特殊な仕事のために自分たちを準備する可能性を持つ必要があります。全国レベルやそれ以上の段階で、特別な準備のための講座を設けることは過剰ではないでしょう。教材は上述の初期養成のところで述べたものか、あるいは以下に記すものとなります。 a.在世フランシスコ会の歴史と源泉資料 b.在世会の固有の独自性への把握 c.教会論と在世会 d.在世フランシスカンの霊性 e.教会と社会における在世フランシスカン f.在世会のフランシスカン的意義 g.在世会に関しての兄弟たちの養成 h.在世会補佐の宗教的側面 i
.在世会とヤング・フランシスカン j
.子供フランシスカン、準会員、聖フランシスコの友 B.補佐役の刷新 補佐役の継続的な刷新のために以下の事柄が推奨されます。 a.
三年毎の刷新コース。補佐について生じてくる様々な質問について、在世会に起こっていることについての情報を刷新する。 b.
在世会および、全国補佐や国際補佐に関連する他の修道会の雑誌や情報を読むこと。 c.
全国補佐役たちの間、そしてまた特に補佐役協議会があるところでは、地区補佐役たちの間において、知識や計画、企画の交換をすること。 実行要領 リーダーあるいは行為者 1.総長と管区長たち a.
在世会についての関心を配下の兄弟たちの間で高め、修道者と在世フランシスカンとの間の交わりを促進する。 b.
養成に注意を払い、すべての修道者に在世会についての関心を呼び起こす。 c.
在世会が、修道者の初期および生涯養成のプログラムに場所を持つよう配慮する(6)。 d.
兄弟たちの修道院訪問や集会議の際に、在世会についてや在世会に与えられた補佐について情報を集める 2.管区霊的補佐役と各地霊的補佐役 a.
上級上長や養成担当者たちの同意を得て、養成のためのコースや会合を準備し、組織し、活性化する第一の責任を持つ。 b.
すべての段階の兄弟たちのこの特殊な養成に適した養成担当者を、修道者と在世会員から任命する。 c.
特に有期請願期の兄弟たちに在世会での実際の体験を世話する。 d.
教会と社会における在世フランシスカンの生活と参加について、兄弟たちに情報を提供して、司牧的訪問において、兄弟たちの養成修道院と接触するよう努める。 3.兄弟たちの養成担当者 a.
若い兄弟たちの養成に責任を持つ者は、「キリストに従うことの美しさ」と在世会と共有する「カリスマの価値を開示する」(「奉献生活とその使命」66)。 b.
養成担当者たちは、カリスマとフランシスカン家族の使命に執着しながら、成長のための機会を提供する(cf.「奉献生活とその使命」66)。 c.
養成担当者たちは「神を探す小道にとても慣れ親しんで」いるべきであり、在世フランシスカンと共に働いて、「この旅路に他の人々を同伴できるほヌ」にならなければならない(「奉献生活とその使命」66)。 方法論的示唆 1.体験的方法 −すべての段階において、体験的な方法をとること。 −養成プログラムに具体的な体験実習を盛り込みこれらの体験について指導を受けながら反省することを統合する。 2.共働すること a.養成担当者側においては、 −チームを組んで任務にあたる。 −養成担当者と在世会およびその他のフランシスカン家族のリーダーたちがこのチームの一員となる。 −アイデアと教材の交換は、同じ言語地域やまた他の言語地域の養成担当者たちの間でも望ましい。 b.養成を受ける側においては、 −さまざまな段階で、他のフランシスカン家族の養成を受ける者たちとの共同の機会をもつ。 3.距離を置いた養成 −距離を置いた養成の方法も使われるべきです。通信講座やパソコンネットワークでの討論を通してより深い学習を共にする。 −現代的なコミュニケーションの手段を活用することが必要です。ファックスやEメール、インターネットなどを通して、自分を啓発したり養成に努力する新しい可能性が提供されます。 4.教材 全国霊的補佐役ないし、管区霊的補佐役たちは、在世会補佐役の養成のための教材を集め、絶えず時代に合ったものとするよう配慮しなければならない。それらは、源泉資料、文書、教導職からの文書、手引書、ニュースレター、歴史概略、紀要、様々な公刊書、ポスター、パンフレット、ビデオ、カセットテープ、インター
ネットのホームページなどです。 −教材は、教育者と兄弟たちが使用できるようにする。 −見つけられなかったり、思い出すのが困難な必要教材を準備しなければならない。 −異なる言語圏の間や教材を思い出したり、翻訳するのが最も困難な地域との間の兄弟的共働が行わなければならない。 参考 (1)「会則に共同署名するにあたっての総長たちの書簡」1987.10.4 (2)「在世フランシスコ会を霊的・司牧的に補佐するための規則」ローマ、1992年、n.1。 (3)会則第一条、会憲1条4、85−91条、92条、94条、95条。 (4)1990年ファティマでの総会決議書 (5)Koinonia1996年、n.4:インターネット
http://www.ciofs.org/per/1996/1c96en28htm (6)補佐のための規則、6条3、15条、22条。 |