<バックナンバー>

2005年2月号

《英語、フランス語、イタリア語版他》

 私たちは復活されたキリストにおける兄弟共同体である
  
2005年復活祭に向けて本会宛ての総長メッセージより

 小さき兄弟会は兄弟共同体です(会憲1)

始めるために:私たちは小さき兄弟である
新選出の管区長との会議(2005年1月17日−21日)

教会における権威が、教会が交わりであり神の民であるという事実に基づくものであるなら、フランシスカン的観点における権威の奉仕は、私たちが小さき者/しもべの兄弟共同体であるという事抜きには理解できません。権威の奉仕の実践に呼ばれる以前に、私たちは小さき兄弟となるために呼ばれています。小さき兄弟というのは、フランシスコが彼の共同体のために求めた名前でした。権威の奉仕は、小さき兄弟となるという明確で決定的な召し出しの中の、臨時の一時的な召し出しです。

小さき兄弟となる事の帰結である兄弟共同体は、私たちを以下のように規定します:「聖フランシスコによって創立された小さき兄弟会は、兄弟共同体である」。それ故共同体は、私たちの「生活様式」に必要不可欠の要素であり、私たちの霊性と本会の組織に本質をなす要素です。

私たちの師父フランシスコは、共同体をそのように望みました。フランシスコは人間関係について、母がその子を愛し養う以上の愛情を持ち合う、兄弟的な関係であるようにと強調しています。そして弟子たちを指し表わすのに「兄弟」という言葉を用い、彼の周りに集結したグループを表わすのに「兄弟共同体」という言葉を使っています。こうした事は、フランシスコが共同体を如何に重要視していたかをよく示しています。フランシスコの望みと合致して、私たちの法規は兄弟的生活について、「祈りと奉献の精神」と共にある「徹底した福音的生活」の厳然たる表明であると認めています。私たちはそのように生きなければなりません。「兄弟たちは、聖フランシスコの弟子として、徹底的に(ラディカルに)福音を生きなければなりません−即ち、祈りと献身の精神をもって、兄弟的交わりのなかで、生きなければなりません」。

平等である事は、フランシスカン兄弟共同体を特徴づける数多くの特色の一つです。教会が小さき兄弟会を「聖職者会」の中に数えていても、修道会を形成する兄弟はすべて「その誓願によって」「完全に平等」です。兄弟共同体においては、ある兄弟が他の兄弟よりも偉いという事はなく、ある者が他より重要という事もありません。一切の例外なくすべての者が対等です。なぜなら皆、あい等しく共同体への同じ召命に加わっているからです。これは兄弟フランシスコの意志とも一致します。彼は未裁可会則の中でこう記しています:「誰も『院長』と呼ばれてはならない。皆おしなべて小さき兄弟と呼ばれるべきである。そして、互いに足を洗い合わねばならない」。皆一様に、小さき兄弟という同じ呼称を持ち、自分が他に対して望むように自らも思いやり深く、兄弟的に、心を開き共同体の中で対等の関係を生きるよう、呼ばれています。

兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョofm

 

小さき兄弟たちの最初の宣教−モロッ

 モロッコにおける小さき兄弟たちの存在は、フランシスカン宣教の初子と定義づけられます。モロッコ連合は、アシジのフランシスコが望んだ最初の宣教の継続です。モロッコに住む小さき兄弟たち全員が、2005年1月2日から4日まで「兄弟共同体:内省とコミュニケーション」というテーマの幕屋の集会に出席するため、ラバトで一堂に会しました。それは皆にとって兄弟愛と出会いと祈りの時となりました。アフリカ総理事の兄弟アマラル・ベルナルド・アマラルと、海外宣教総モデラトール(総担当者)の兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリも出席しました。集会の開催期間中に、対話の総委員会もラバトで会議を開きました。総委員会はアラブ−イスラム世界に対する知識をいっそう深め、モロッコの人々と触れ合いながら生活している小さき兄弟たちの作業をよく理解し認識するために、モロッコの地を選びました。モロッコにおける宣教には、他と異なる際立った特有の側面があります。それは声に出す公けの説教としてでなく、示される態度や行動と福音、そしてイスラムの中のフランシスカン生活の存在です。それは出会いと諸宗教・諸文化間の対話のための架け橋となっています。そして兄弟たちが若者や大人や、特に貧しい人々、困窮の極みにある人々に、教育や社会的援助の奉仕を差し出す場でもあります。

人々の中の霊的指導者として生きる小さき兄弟たち−インド

 インドの使徒聖トマス管区の兄弟ダヤナンドは、南インドのベラリー地区周辺の町や村で、巡業の説教者として貧しい人々に聖福音を説いています。この宣教には、仲間の兄弟たちが断続的に同行しています。インドではほとんどの州で直接的な福音宣教や回心が憲法上禁じられているため、同兄弟は様々の信仰の人々に聖福音を説き、彼らをイエスの弟子とする事に打ち込んできました。10年ほど前に土地の人々は、兄弟ダヤナンドや彼と生活を分かち合う兄弟たちのためにアシュラム(住まい)を建ててくれました。それは兄弟が説教の巡業に出ているベラリーのたくさんの村々を探し回るより、定まった場所で自分たちのグル(師)に会う事ができるようにと願ってのことでした。人々はアシュラムにやってくる人たちに、自分たちで食べ物を用意してくれます。それはいつも十分全員に足りるものです。このフランシスカン・アシュラムの特徴の一つは、グルや他の兄弟たちがいつでもどこでも人々のために出かけていく身軽さを減ずる事無く、病人や精神障害に苦しむ人やエイズ患者の世話もしているということです。その地の文化に根ざしたこの生き方は非常に人々の身近に親しくあり、様々の信仰を持つ多くの群衆がアシュラムに惹きつけられています。人々は金銭的援助が与えられないと知っていてなお、アシュラムに慰めと受容の心を見出しています。

SFO全国集会−モーリシャス

 SFO総補佐の兄弟イヴァン・マティッチは、2004年12月15日から21日まで、SFO選挙全国集会に出席のためモーリシャス島に赴きました。同兄弟は集会の間、ボー・バッサンの兄弟たちの共同体に宿泊し、そこでSFO全国補佐の兄弟ルネ・クーターニュや、聖フランシスコ管区理事職と地元諸共同体の補佐を務める兄弟クリシュナ・ラムザミと会談しました。12月16日には全国評議会と会談し、SFOとフランシスカン・ユースの現状を直接知る機会を得ました。

モーリシャスの在世フランシスカンの現況は良好で、SFOの兄弟共同体がいかに活動的で魅力的になり得るかを示す良い例となっています。たくさんの若い夫婦がSFOの一部となり、他の多くが初期養成中です。信徒の側にはフランシスカン霊性に対する顕著な関心がみられます。現在、教会法に基づき規範的に創設された10の兄弟共同体と、養成過程の共同体が10あります。霊的補佐は現在までのところ兄弟ルネと兄弟クリシュナだけで、多くの共同体で霊的補佐が不足しています。マリアの宣教者フランシスコ修道会はその一部がSFO兄弟共同体と協力しており、有意義な支援を行なっています。

フランシスカン新刊の栞

 *カルロ・カッデリ著「パルマの福者ヨハネ−聖フランシスコ後の小さき兄弟会第7代総長(原題Il Beato Giovanni da   Parma)」パツィーニ出版(2004年、ボローニャ)。これはフランシスカン史の最初の世紀に卓越した人物であったパルマのヨハネの伝記であり、研究書です。パルマのヨハネは、時にはスピリチュアルとして、又ある時にはフィオレのヨアキムの弟子として紹介される事もあり、理想主義的な魅力溢れるフランシスカンでありながら多くの反対者に囲まれていました。聖人によって試練を受けた聖人でした。

*ジョバンニ・ラウリオラ著「ジョン・ドゥンス・スコトゥスと新たな福音宣教(原題Giovanni Duns Scoto e la nuova evangelizzazione)」、Editrice, AGA(2004年、アルベロベッロ)。未来についての思想家であるヨハネ・ドゥンス・スコトゥスは、洗礼を受け奉献生活をする者誰でもが第一人称を生きなければならない福音化と宣教者生活の本質について、その内省と黙想のための有効な参考文献を示しています。

*エフレム・マッツォーリ著「ラ・ベルナ−フランシスカン研究:1903−2003目録(原題La Verna – Studi Francescani, Indici del cento anni 1903-2003)」、『フランシスカン研究』評論第101期3−4号(2004年、フィレンツェ)。

この定期刊行物は小さき兄弟会の監修のもとに、上記一世紀間の論文やフランシスカンの寄稿を集めた索引目録を発表しています。

 フラテルニタス誌−その第一歩の概観

 小さき兄弟たちのためのインフォメーションに富んだ広報を作ろうという考えは、1967年に生まれました。それは第二バチカン公会議の指針に基づく本会の刷新が開始された、アシジ総集会の直後の事でした。

定期刊行の「小さき兄弟会議事録(Acta Ordinis Minorum)」は1800年から本会に存在していましたが、「非公式」なニュースや様々な体験の刊行は、全く想像もできない事でした!

ですから、新しい道具が必要でした。それは本会の周縁末端から中心に至る様々なニュースを、論評無しに集める事でした。総本部は一切公的性格を付さずにニュースを刊行し、兄弟たちは自分の読んだ事柄について、行動に移すかあるいは受け入れずに退けるか自分で判断しました。それは会に存在する多様な考えと傾向を収集する手段でした。当時の総長は、多少の危険はあってもこの広報誌刊行の考えに熱心で、このプロジェクトを発動し、兄弟アルベルト・ロペラ・トルジッリョ(コロンビア聖信仰管区)にそれを委ねました。

フランシスカニズムの根本的側面を強調し、また本会全体にとって兄弟愛の道具となるようにという願いを込めて、この新しい刊行物には「フラテルニタス」という題がつけられました。そして会則から採られたラテン語の文言「Quicumque sint et invenerint fratres ostendant se familariter inter se(そして兄弟たちは、どこにいても、またどこで出会っても、互いに同じ家族の者であることを示し)」が、副題として用いられました。

「フラテルニタス」は、1967年総集会の最初の成果として認められています。それは神が造られた私たち一人一人の相違と自由を尊重しつつ本会内の諸兄弟共同体の間の絆を育てるという目的のために、当時の総長であった兄弟コンスタンティン・コーゼルが強く望んだ事でした。

お知らせ−世界のあちこちから

* 小さき兄弟会創立800周年に向けた手紙の題は、「創立の恵み」です。この手紙では総長による序文に加えて「プロジェクト」という章があり、祝典の旅路と、記念祭のための準備活動の指示が載せられています。現在公式文書が各管区本部宛に送られており、本会の兄弟共同体に配布されます。(日本語版はすでに配布してありますが、まだ在庫がありますので追加ご希望の方は六本木の管区本部まで連絡下さい。)

*    2004年12月の総理事会において、福音宣教実行委員会の構成員が決定されました。すでに福音宣教総書記の兄弟ネストル・シュウェルツと海外宣教総モデラトールの兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリが、同委員会のメンバーとなっています。今回それに兄弟カルロス・サントス(アジア)、兄弟ラファエル・スギエト及び兄弟マルセル・ツィケズ(アフリカ)、兄弟ステファノ・オッテンブライト及び兄弟ニコラ・ヴコヤ(ヨーロッパ)、マックス・ホトル(米国)、エミリオ・エスラヨラ(ラテン・アメリカ)が加わります。

*   メデリンの聖ボナベントゥラ大学は、2004年10月13日教育省から心理学部について上級の認定を受けました。同学部の勉学カリキュラムはアンティオキア地域において最も有効と認められており、コロンビア全体では8番目となります。

*  総理事会は先頃本会副総長に選出された兄弟フランチェスコ・ブラヴィの後任として、2005年1月13日にCOMPI(イタリア管区長協議会)理事の兄弟マリオ・ファヴレットOFMを選出しました。

*   総理事の兄弟ルイス・カブレラは、本年1月末にブラジルに帰国した兄弟ロドリゴ・ペレの後任として、正義と平和と被造物の統合事務局の局長に着任しました。

*    本会800周年記念祝典の第一段階の公式開始期日は、2005年10月29日と決定されました。祝典は総理事会が出席してアシジで開催され、それに合わせて修練院院長の国際会議も開かれます。各管区も公式文書「創立の恵み」の指示に基づいて、それぞれの地域内でこの時を祝います。

*   「フランシスコに現れた平和の挨拶」というテーマの霊的修養講座が、兄弟たちと信徒に向けて2005年2月20日から26日までポルチウンクラの「Le Stuoie」で開かれます。この講座は、1982年以来平和活動に従事してきたアシジ管区の兄弟ジャンマリア・ポリドロOFMが指導します。同兄弟は1984年に当時のロナルド・レーガン米国大統領に面会に行く一方でクレムリンも訪問し、冷戦から抜け出る方法として対話の道を提唱しました。1997年には「アシジ国際平和」協会を創立しました。同協会は「非戦」の概念を乗り越えて「平和の文化」を理論化する事により、平和を目指して活動します。現実に対する建設的なビジョンは、耳を傾けて聴き、会い、対話し協働する事を通して実を結び、実現されます。この講座の申し込み締め切り期日は2005年1月30日です。詳細は兄弟マッシモ・レッリ下記連絡先までお問い合わせ下さい:Tel. +39.075.8044608, Fax +39.075.8044256, eMail: lestuoie@assisiofm.org  http://www.lestuoie.it

日本語版付録  

*    教皇庁立聖アントニオ神学大学が2005年から総合大学(Universitas)になりました。その最初の卒業生は日本の兄弟フェリックス上原博之です。2月7日、来日していた兄弟マルコ・ノビレ学長から直々に卒業証書を受けました。

*    聖ボナベントゥラ著「観想の道 −三様の道・生命の完成−」キリスト教古典選書 小高毅=翻訳 サンバウロ ¥900+税。1969年玉川大学出版部から出されたものが最後ですでに絶版になっています。このたびサンパウロから出される新しい「キリスト教古典選書」シリーズの最初のものとして兄弟小高毅による新訳で出版されました。

*    2月2日(水)六本木フランシスカン・チャペルセンターで、1月2日に帰天した兄弟フランシスコ佐藤敬一司教の追悼ミサが行われました。平日にもかかわらず、多くの兄弟姉妹たちが集まりました。

*    誓願の金祝・銀祝の祝い:今年も例年通りに誓願の金祝・銀祝の祝いを2月5日(土)六本木修道院で行われました。該当する兄弟たちは、金祝須賀沢公男、山辺剛、田中英二、谷華、サムエル・ストラリアティ、ハインリッヒ・シュニューゼンベルグ、銀祝藤原昭の皆さんでしたが、兄弟山辺と兄弟ハインリッヒは体調不良のために出席できませんでした。

*    訃報:お祝い事の後に悲しいニュースも流れました。兄弟フランソア・ゲング神父が2月5日に六本木修道院の自室で虚血性心不全のため帰天しました。本当に急なことでした。来日して50年になりますが、一度もフランスへ帰国していませんでした。お祈り下さい。

*   兄弟の来日:韓国から滞日・在日韓国人の奉仕のために兄弟ヨハネ羅が来日しました。当分は大阪・生野で研修し、宣教師のビザ取得後本格的に活動を始める予定です。

*   司祭叙階式:3月5日(土)午前11時より瀬田・聖アントニオ修道院で岡田大司教司式による兄弟フェリックス上原博之の司祭叙階式があります。この式の中で、兄弟フランシスコ新直己の祭壇奉仕者選任式も行われます。なお、本会の司祭叙階式は2年ぶりです。

*  初誓願式:3月19日(土)午前10時半より、さいたま修道院で兄弟トマス元田勝哉の初誓願式が行われます。修道院が新築されて最初の誓願式です。

* そのほか:誓願更新の黙想が2月20日より24日まで上石神井で、初誓願の黙想が3月6日から15日まで桐生で行われます。どうぞお祈りください!