<バックナンバー>

2005年3月号

《英語、フランス語、イタリア語版他》

 私たちは復活されたキリストにおける兄弟共同体である
  
2005年復活祭に向けて本会宛ての総長メッセージより

 小さき兄弟会は兄弟共同体です(会憲1)。私たちの会憲は、兄弟的な交わりの神学的基礎を、私たちの生活がいとも聖なる三位一体の秘蹟との間に持つ神秘的な関係に見出しています。なぜなら、私たちはみ恵みを通して天の御父の子供であり、聖霊におけるイエス・キリストの兄弟であるからです(会憲38)。私たちは三位一体であるこの交わりを通して、兄弟的な共同生活を生きる事ができるようになります。私たち兄弟は、神のみ旨の内に愛の完全な交わりを観想して、相互の愛と思いやりを学びます。それは私たちが共同体の胸の内に顕在するようにと、いつも願うものです。復活されたキリストは、私たちが自身をその御体の構成員とみるのをゆるして下さいます:私たちはキリストに結ばれて神の御子であり、キリストに結ばれて愛され、あらゆる霊的祝福をもって祝福されています(エフェソ1,3参照)。共同体の聖体祭儀で主の御言葉を聴き、主の御体と御血をいただいて、私たちはキリストと兄弟たちを受け入れ、自身がキリストとなり兄弟となって、キリストと兄弟と交わります。

 「神は独り子をお与えになるほど、この世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びることなく、永遠の命を得るためである」(ヨハネ3,16)。私たちは、受肉の神秘の内にこの独り子を与えられました。賜物は、その死と復活の神秘によって十全に私たちに明らかにされています。その愛に満ちた犠牲は、聖体祭儀の神秘の内に永続し絶える事がありません。そして私たちの信仰は、御父である神が御子を私たちに授けられたと知った時に、同じ聖なる愛をもって、兄弟一人一人が神から兄弟会に授けられた賜物である(会憲40参照)事を理解します。こうして秘蹟においてと同様に、兄弟たちの家族的な精神と相互の友情(会憲39)の中で、三位一体の神秘に対する私たちの忠実さのまことが顕かにされます。兄弟たちの相互の愛と対等の奉仕(会憲42)において、復活されたキリストに対する私たちの信仰が形を結び明確になります。簡素な共同生活の中で、「キリストにおいて結ばれた家族のような」(会憲45)共同体を築きあげる中で、すべての兄弟たちを心こめて受け入れる中で、差し出され受け入れられたゆるしの中で、兄弟たちは日毎、聖体祭儀におけるキリストとの交わりの真実を明らかにします。 

兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョofm 

ローマの教皇庁立聖アントニオ神学大学が教皇庁立総合大学に

教皇庁教育省は、2005年1月18日教皇によってPAAに「教皇庁立総合大学」の名称が認められた旨、PAA理事長である本会総長に通知しました。フランシスカンの学術機関は1887年に始まりました。それは当時の小さき兄弟会総長の兄弟ベルナルディノ・デル・ヴァゴ・ダ・ポルトグルアロが、ローマにおける本会の総合研究センターの再建プロジェクトを完成させた年にあたります。センターはラテラノ大聖堂の近くに建てられ、1890年11月20日レオ十三世の祝福と共に「ウルべの聖アントニオ・パタヴィニ・コレジウム」の学術活動が始まりました。1933年5月17日にはピオ十一世が、ウルベの聖アントニオ学術院を教会法的に正規に樹立すると宣言し、1938年6月14日同学院に「教皇庁立」の名称を認めました。教皇庁立「聖アントニオ」総合大学は小さき兄弟会の総合大学センターであり、研究や授業やその普及を通して、本会と教会と社会に奉仕します。3月9日に新学長が任命され、「教皇庁立総合大学」の名称授与が厳かにアカデミックな方法で祝われます。

ラテンアメリカ最初のフランシスカン管区創立から500年

 ラテンアメリカの最初のフランシスカンは1493年に到着しました。1498年にはオザマ河左岸にサントドミンゴの町が築かれ、兄弟アルフォンソ・デ・エスピネルを長とする12人のフランシスカンが1502年同地に到着。世に言われる「ラテンアメリカ最初のキリスト教修道院」をうち立てました。1505年にフランスの都市ラヴァルで開かれた聖霊降臨の総集会において、「インドの聖十字架」と呼ばれる新世界最初のフランシスカン管区が、それまでに同地域で発見されていた全領域の管轄権と共に正式に設立されました。フランシスカンの存在は、ジャマイカ、キューバ、プエトリコ、ヴェネズエラ東海岸、そしてパナマ地峡に至るカリブ海・西インド諸島全域に急速に広がりました。現在本会の存在は、カリブ海地域だけでなくラテンアメリカの全体にわたっており、36の共同体に3,628人の兄弟がいます。
 総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは、ラテンアメリカ総理事の兄弟ルイス・カブレラと兄弟ホアン・イグナシオ・ムロの同伴を得て、2月4日サントドミンゴにおけるフランシスカンの存在500年記念の祭儀を司式しました。フランシスカン家族の兄弟姉妹たちや他の修道者たちが多数参加しました。総長はカリブ分管区の兄弟たち全員に会いました。

兄弟たちのビデオ会議−USA

 おそらく小さき兄弟会の歴史上初めて、「バーチャル会議」が開かれました。こうした会議はこれから先も行なわれていく事になるでしょう。ニューヨーク管区に所属する100人の兄弟たちが、共同体生活に関する重要な問題を討議するためにビデオ会議に参加しました。この会議は、まもなく訪れる5月の管区会議で管区長職候補となる兄弟たちについて知り、その主張を聴くために企画されました。テレビ会議は報道記者の司会のもとで、管区の生活とその運営に内在する課題に正面から向き合いました。中継は専門企業の「国際オーディオ・ビジュアル有限会社」が担当し、9つの異なる場所に集まった兄弟たちを「バーチャルに」一つに結んで行なわれました。このアイディアは修道院長会議で提案され、管区長候補の兄弟たちについて知ったり会ったりする事を目的として理事会で承認されました。ニューヨークのウィパニーに設置されたテレビカメラを通して、全員が各中継地から見たり聴いたりできました。候補者は各自2分の持ち時間で論題に答え、それから兄弟たち全員に質問の機会が与えられました。「テレビ会議」は2時間続きました。利用可能な最新のテクノロジーを使用して、大規模な負担をする事なく、すべての兄弟たちが共同体生活に関する根本的な問題について未来の管区長に問う事ができたという点で、このイニシアティブは高く評価されました。

ベラルーシSFOの養成講座−ポーランド

 ワルシャワ(ポーランド)の東欧・北アジアフランシスカンセンターは、2005年2月4日から6日までベラルーシSFOの養成講座を主催しました。ベラルーシ共和国からの18人の在世フランシスカンや、国際SFO協議会(CISFO)の議長評議会メンバーを務めるベネデット・リノ氏、総補佐の兄弟イヴァン・マティッチOFMが出席しました。講演者はSFOへの霊的補佐についての説明に加えて、フランシスカン霊性、召命、SFOのカリスマと使命など、多様なテーマで語りました。
 ポーランドSFO全国評議会が講座の企画構成を担当し、その支援のおかげで会議は実現の運びとなりました。
 ポーランドの在世フランシスカンはベラルーシの兄弟たちに、地域共同体の生活や養成や実際的な組織に関する質問について説明しました。旧ソ連のこの共和国には、50の兄弟共同体と2つのフランシスカン・ユース共同体に、誓約した430人の在世フランシスカンがいます。第一会の三つの家族(OFM、OFMカプチン、OFMコンヴェンツァル)も存在しています。
講座の間に、全国補佐協議会の設立の必要性や、現在補佐のいない地域共同体に補佐の手配が必要である事などが話し合われました。

第九回「養成と学問」国際評議会−韓国

第九回「養成と学問」国際評議会が、2月14日から26日まで韓国のソウルで開催されました。会議は特に養成と学問からの提案に注意を払いつつ、「平和のための対話」というテーマに取り組みました。韓国聖殉教者管区のゲストや、本会の14の協議会の代表団、講演者、通訳、それに養成と学問総事務局の責任者が、2003年総集会の総括文書に示された方向に基づいてこのテーマに取り組みました。現代の多文化・多宗教的文脈の中で、和解と平和のために小さき兄弟の召命を生きるにふさわしい養成の道程について、共通の方向性を求めて考察と作業が行なわれました。会議の間にはアジアの伝統的な諸宗教の代表からの発表がありました。また、出席者は寺院や養成センターを訪ねて地域文化を分かち合う機会を得ました。評議会第二週には、未来の選択を視野に入れて各協議会と本会における養成の状況を評価しました。

フランシスカン新刊の栞

プリアモ・エッツィ著「フランシスカン法制度」(原題Iuridica franciscana)。三つのフランシスカン修道会の法制史学術書。メッサジェロ出版、2005年パドゥア。本書は三つのフランシスカン修道会の法的・歴史的・教義的主題を、「専門学術書」で定義しつつ確認するもので、フランシスコから生まれた三修道会の進化を法制史的に導き出しています。著者はサルディニア管区の小さき兄弟で、ローマPUA(教皇庁立聖アントニオ大学)で教会法を教えています。
ステファン・オペス著「中国の『聖ヒエロニムス』−兄弟ガブリエレ・アッレグラofmの思い出」ヴァチカン図書出版、2005年ヴァチカン市。兄弟ガブリエレ・M・アッレグラ(1907-1976)OFMはシチリア「イエスの御名」管区の小さき兄弟で、初めて中国語訳カトリック聖書を著わしました。同兄弟は最初は一人で、途中からはフランシスカン中国聖書研究センターと共に、全体で30年にわたって原典からの翻訳にいそしみ、その間の努力をノート5冊分に書き記しました。今回これらのノートを、ローマPUA哲学科教授で現学部長も務める兄弟ステファン・オペスOFMが編集しました。同大学は、兄弟ガブリエレ・アッレグラが中国での使徒職に備えた学び舎でもあります。

お知らせ−世界のあちこちから

メキシコの学校教育相は2004年11月30日、グアナファトのレオンにあるアシジの聖フランシスコ高等研究所に、メキシコ・フランシスカン大学の名称を認可しました。研究センターはミチョアカンの聖ペトロ聖パウロ管区の所属です。大学は2005年8月から、5つの修士課程と博士課程の講座をもって開講します。初代学長は兄弟ホセ・サントス・ペレス・カスティッリョOFMです。

オランダの小さき兄弟たちの選択において、現代文化の中にフランシスカニズムを広める事が大変重要視されています。その具体例として、兄弟たちはユトレヒト・カトリック大学(KTU)のフランシスカン研究センターで霊性・神学・フランシスカン史の教授職を引き受けています。現オランダ管区長である兄弟ヤン・ヴァン・デン・エイデンは、ピエトル・フリーマン教授(フランシスカン史)並びにウィレム・マリ・スペルマン教授(現代フランシスカン霊性)と共に同大学でフランシスカン神学を教えています。ユトレヒトのフランシスカン研究センターは「フランシスカンの著作(Scripta Franciscana)」シリーズも刊行しています。兄弟ヤン・ヴァン・デン・エイデンはオランダのゴルクム殉教者管区長を務め、新しいCOTAF協議会(アルプス以北フランシスカン協議会)の初代議長でもあります。

兄弟アロイジオ・ワロと兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリ、兄弟ロドリゴ・ペレ、兄弟アレハンドロ・カスティッリョ、兄弟ネストル・イナチオ・シュウェルツは、2005年1月13日から16日までスイスのフランシスカンズ・インタナショナル諸担当室を訪問しました。この会議はジュネーブ担当室長の兄弟ジョン・クィグリーOFMから、養成と学問総事務局、福音宣教総事務局、それにJPIC(正義と平和・被造物の統合)担当室の各責任者に対して、分かち合いと協働という形を用いたフランシスカンNGOの活動と関わりについて知らせるという目的で提案されました。担当室長の兄弟ジョン・クィグリーに加えて兄弟ジャン・ルイ・ブルスOFMや専任スタッフ、それに一年以上ボランティアの奉仕活動をしている若者たちのグループも参加しました。作業の幾つかの側面はとりわけ建設的で、担当室は特にアフリカ、カナダ、USA、アジア、ラテンアメリカの人権擁護に従事しています。フランシスカンズ・インタナショナルは、国連代表の行政機関で貧しい人々の声を表明しています。

日本語版―お知らせ
※入院中の兄弟たち
※1)兄弟クリストフ・グルベス(狭山市・老健施設「かがやき」
※2)兄弟武井薫:札幌・緑誠病院に入院中。
※3)兄弟キャンピョン・ラリー:病院を退院して米国ジョージア州の弟さんの家で療養中。
※4)兄弟ハインリッヒ・メツラー:旭川日赤病院・前立腺治療のため通院中。
※5)兄弟ゴフレト・ルナルデイー:根室江村内科病院に肺炎のため入院中。
※涙、涙の叙階式:3月5日11時より瀬田アントニオ修道院において、兄弟上原博之の司祭叙階式が行なわれました。任地は、六本木聖ヨゼフ修道院です。なお、この日は兄弟新直己の朗読奉仕者の選任式もありました。
※3月19日(土)さいたま修道院で兄弟元田勝哉が初誓願を立て、翌日には、有期誓願者共同体の三軒茶屋へ移りました。叙階式、誓願式の様子はHPのアルバムに掲載予定です。
※御復活祭の後に、春の異動のために引っ越しをする兄弟たちが何名かいます。新しい任地での働きをお祈りしています。