<バックナンバー>

2005年4月号

《英語、フランス語、イタリア語版他》

教皇庁立聖アントニオ総合大学:知識に向かって開かれた研究機関

2005年3月9日、教皇庁立聖アントニオ総合大学昇格の公式の祝い。

聖アントニオ神学大学の教皇庁立総合大学認定は、本会にとって大変意義深い特別の時に訪れました。それは2009年に800周年を迎える小さき兄弟会創立の恵みの祝典に向けて、私たちがこの10月から準備を始めるという時期にあたります。この恵みを活かして、普遍的兄弟共同体は、教会が私たちに求めるように創造的な忠実さの内に、そして2003年の聖霊降臨総集会が求めるように本質に立ち帰って、再建のプロセスに専念しています。この再建の旅は、私たちの召命/使命の求めと現代世界が私たちに提示する挑戦に対してなおいっそう応えるために、私たちが創立のカリスマを取り戻すよう導いていきます。それ故私たちは生活の聖性と小さき人々への親密さと共に、エクレストンのトマスがその時代に記したとおり、勉学が基本的な必要条件である事を全面的に確信しています。彼は小さき兄弟会が二つの柱−生活の聖性と勉学−に基礎を置くと確言しました。そしてそれは教皇ヨハネ・パウロ二世が1991年の総集会に寄せられたメッセージの中で、私たちに言われた事でもありました。

教皇庁立聖アントニオ総合大学(PUA)は、疑う余地なく本会にとって特別に大切なものです。なぜなら本会の他の学術研究機関に比べて規模こそ遥かに小さいながら、本会の「主導的な勉学センター」(フランシスカン養成綱領122,1)とみなされているからです。同大学はその本質によって、教皇庁立の、そしてフランシスカンの「総合大学」として位置付けられなければなりません。

PUAは総合大学として、神学、聖書学と考古学、哲学、教会法の4つの学部からなる形を維持します。そして知識の普遍性に向かって開かれた研究機関である事を特徴として、人に仕えて文化の創造に貢献しなければなりません。その文化とは、経済や大学自体にとって身近な原理である実用性や効率や競争といった基準を超えたものであるはずです。それPUAは、何世紀も昔から続くフランシスカン学の偉大な代表たちの伝統に従って、人を搾取する知識の支配力に打ち勝ち、人に仕えて知識の「ディアコニア」に賭けなければなりません。

親愛なる教授の皆様、教皇庁立マリア・アカデミーやスコトゥス委員会やグロッタフェラッタの聖ボナヴェントゥラ共同体や、ローマの他の教皇庁立大学と協働して、私たちの大学が神学と哲学と人間科学・自然科学が建設的な対話を交わす文化のワークショップとなるように、どうぞ全力を尽くして下さいますようお願い致します。
(下記サイトに全文掲示中http://www.ofm.org/wordpress/it 02.php)。
総長・PUA理事長 兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョ。

財政支援の連携−イタリア

本会の中には財政難にあって、兄弟共同体の生活や、志願者と兄弟たちの養成に不可欠な必需品の調達が困難な管区や分管区があります。師父聖フランシスコの教えに従って、こうした共同体は主の卓を頼り、総長と全世界の兄弟共同体に自分たちの必要を知らせています。本会では全体レベルと地域レベルで、この状況に取り組む幾つかの組織が現われました。その中で4つの組織は、定期的に会合を持ち、修道会内の具体的な連帯の表し方を前進させる活動を連繋して行ないたいと希望しています。それは総本部の資金調達委員会(CFR)、ウォーターフォードのフランシスカン・ミッション総事務局(USAウィスコンシン、USA-GSFM/W)、フランシスカン・ミッションセントラル(MZF)のボン本部と、オーストリアのウィーンにある中欧・東欧支部(FMO)です。

これらの組織は「財政支援の連携グループ」として、寄せられる諸要求について相互のコミュニケーションを開始しています。総本部への資金請求プロセスの刷新に関する研究が始まっており、新プロセスは2006年から実施されます。グループは兄弟たちが現在の必要に目を配るよう、そしてそれに対応するために入用な財源を見出すよう期待しつつ、さらに緊密な協働の方法を模索しています。

カンタベリーのフランシスカン国際研究センター−英国

カンタベリー(イギリス)のフランシスカン国際研究センターが、ランピターにあるウェールズ大学と提携関係を開始し、同センターで受講する学生が、勉学の成果を国に認定されるようになりました。本年は24カ国の学生が21の修道会から同センターで学んでいます。これらの学生が登録しているのは、フランシスカン研究修了資格課程、フランシスカン養成修了資格課程、フランシスカン養成担当者講座、それに神学の学士課程講座です。2005年9月にはフランシスカン研究の修士課程が始まり、学生は一年にわたって6つの独立単位を取得した後に修士論文を書くことになります。また、サバティカルというもっと安らいだ目的で同センターに学び、国際的に著名な学者の教える広い範囲の独立単位を有効に利用して、それを霊性の客員専門家の教科課程に結びつける学生もいます。こうした専門家は様々な形の祈りと霊的発達を通して学生を指導します。フランシスカン研究とサバティカルについての詳細は、Sr.マーガレット・マクグラスFMSJの下記アドレスに御連絡下さい:Sr. Margaret McGrath FMSJ, franstudies@franciscans.ac.uk 又、資格と学士号取得については兄弟フィリップ・イェーツOFM(校長)の下記アドレスに御連絡下さい:Br. Philippe Yates OFM,  ministry@Franciscans.ac.uk

また2005年8月1日−12日には、同センターで2週間にわたる最小限50時間の英語集中講座も開かれます。費用は630英国ポンドで、住居費(シングルの書斎寝室)・食費・遠足費込みです。詳細は下記までお問い合わせ下さい:Fax +44 1227 768648, e-mail:Elizabeth.m@franciscans.ac.uk

エキュメニカルの橋「アシジ−ティミショアラ」−ルーマニア

2005年2月10日と11日ルーマニアのティミショアラで、小さき兄弟会の対話委員会と、東方教会首都大司教区のニコライ・コルネアヌ大司教、それに様々の教会共同体の代表との会議が開かれました。このイニシアティブは、2003年11月に同地で行なわれた小さき兄弟姉妹たちと東方教会の男女修道者たちとの霊的修養の後、東方教会首都大司教区の求めから生まれました。大司教は小さき兄弟会総長に書簡を送り、首都大司教区とフランシスカンとの関係の継続と安定に対する関心を表明しました。そしてフランシスカンと東方教会の霊性の一致を表すために、アシジとティミショアラを土台として、あらゆるレベルに開かれた理想の橋を創り出そうという考えが生まれました。

対話の間に、共同プロジェクトに向けて次のような幾つかの基準点が立案作成されました:霊的修養と体験、相互の訪問、霊性に関する会議、エキュメニカルとフランシスカンについての図書室、編集出版のイニシアティブ。東方教会首都大司教区神学図書館にはフランシスカニズムのセクションが設けられ、神学生がいつでも自由にフランシスカンのメッセージに触れられるようになっています。

フランシスカン新刊書の栞

ジュゼッペ・ブフォン著「聖地のフランシスカンたち(1869−1889)」(原題Les Franciscains en Terre Sainte)。信仰と政治についての機関研究。セルフ出版並びにフランシスカン出版(2005年パリ)。聖地のフランシスカンたちは、「役立たず」で「引っ込み思案」で「無知」で「無能」な修道者と見られました・・・。彼らは今もなお引き続き現地で活動を続けています。フランシスカンはなぜ耐え抜いてきたのでしょうか。19世紀末に権力を防衛するフランス共和国は、英国とドイツに支援されたプロテスタントの改革主義に立ち向かえる「愛国的な」修道会派に味方して、フランシスカンたちを現地から排除しようとしました。フランス外交官はローマから支持を取りつける事までしましたが、特別分管区はその国際主義と無政府性を通してヨーロッパ列強の権力に対抗しました。実際、特別分管区の組織構成はあらゆる種類の統制を免れており、その抵抗の強靭さと動機はまさにここに由来します。この研究の提示する解釈では、検討事例を越えた彼方にその関心が進んでいます。その根拠となるのは、民主主義と従順との適正なバランスの混合体であるフランシスコ会特有の機能であり、それは即ち強固なフランシスカン・アイデンティティを維持する事によって特別分管区がヨーロッパの政治権力に対抗する事を可能にした、ある種の「合理的な無政府性」であると言えます。本書はフランス語で著されており、PUA(教皇庁立聖アントニオ総合大学)の助力によって出版されました。

ジャコモ・ビニ「姉妹たちよ、聴いて下さい」(原題Audite, Sorelle)。奉献生活の再建の旅。メッサジェロ出版(2005年、パドヴァ)。本書は兄弟ジャコモ・ビニからクララ会に宛てられた談話や説教、それに同兄弟がクララ会連盟やイタリアの小さき兄弟会管区を訪問した際に録音された講演や説教を、Srダイアナ・パパOSCの指導の下に一つにまとめたものです。時と場所は様々に異なりつつも、兄弟ジャコモは養成や観想、巡業の旅、誓願、組織、第一会と第二会との間の相補性、世代間の関係、諸関係の養成、聖母マリア、世界へ向けた教会内の使命等について、未発表の見解を提示しています。テクストは観想修道者の世界に入る機会と、彼らと共に各人自身の生活とこの現代という歴史的時間の中にたゆみなく神を探し求める機会とを与えてくれます。それは観想修道者に近づくきっかけとなり、私たちと共にある神を局限にあって具現化することにより、見えないものを見えるようにする事に打ち込んでいる人々があるのだと理解する好機となります。

「平和の道具−聖霊に導かれて」(原題Strumenti di Pace, guidati Spirito Santo)。2000年JPIC国際会議議事録。イタリア管区長協議会(COMPI)、2005年アシジ。2000年にドイツのヴォセナクで開かれた「正義と平和と被造物の統合(JPIC)」会議議事録は、情報と分析と内省と提案の豊かな宝庫となっています。それはアシジのフランシスコの眼差しを持って、被造物といとも聖なる神の栄光と、その似姿に造られた人間の幸いを愛するすべての人々に差し出されています。

お知らせ−世界のあちこちから

• 神のしもべの尊者・兄弟ガブリエレ・アッレグラの遺骸の教会法による承認が2005年1月29日行なわれ、新しい墓地聖堂に運ばれました。聖堂は、シチリアの小さき兄弟たちがアチレアレ(カタニア)の聖ビアジオ・フランシスコ会の教会内に建てたものです。
• 本会の新法律施行を受けて、総執行部はハンガリー聖マリア管区の臨時視察を行ない、その状況を詳察しました。そして二つのハンガリー管区の状況を考慮した結果、以下のような三つの基本的な決定が下されました:ハンガリーの聖マリア管区と聖カピストラノ管区は一つの管区となる事、そのプロセスは2008年までに完了し、両管区はその日時を早める可能性がある事、新しい共同体が誕生するまで聖マリア管区が「管区」の名称を保持する事。

総長の予定

4月4−5日 マドリッド(スペイン)でスペインとポルトガルの管区長並びに管区理事会との会議。
4月7−21日 タイ、台湾、ミャンマー、ヴェトナムの小さき兄弟たち訪問。
NB:故ヨハネ・パウロ二世教皇の葬儀のため、アジア諸管区の訪問は中止されました。後日改めて予定が発表されます。
4月24−29日 総理事会の霊的修養。


日本語版ニュース

1)兄弟根本昭雄:南アフリカから帰国し、新たな宣教地(ロシア・プロジェクト)へ向かう準備をしています。
2)兄弟中村道生:生野教会で働いている兄弟フランシスコ・ユンがサバティカルをとるため兄弟中村道生が韓国から帰国し、4月から正式に生野教会での司牧に協力することになりました。
3)フランシスカン・ファミリー主催の研修会。第21回フランシスカン家族会研修会が5月24日(火)〜25日(水)、戸塚・聖母の園研修の家で行なわれます。テーマは「聖フランシスコと平和」、講師:松浦悟郎司教(大阪教区補佐司教)、兄弟ルカ・ホルスティンク。
4)Pace e Bene Nonviolence, ”Franciscan Nonviolence”の日本語版「フランシスカン的非暴力」(pp123)ができあがりました。ご希望の方には一冊500円でお分けします。六本木の管区本部へご連絡下さい。
5)納骨式:兄弟フランシスコ佐藤敬一司教と兄弟フランソア・ゲング神父の納骨式が4月3日(日)、府中墓地で行われました。