2005年降誕祭の総長メッセージ
すべての兄弟姉妹に平和と幸福をおくります
イエス誕生の聖夜に、天使はすべての人に及ぶ大いなる喜びを告げ知らせます:「きょう救い主がお生まれになった。彼こそ主なるキリストである」(ルカ2.11参照)。きょう、神と人との歴史はその頂点に達しました。なぜなら、すべての人を照らす神のみことばが人となられたからです(ヨハネ1.14参照)。終わることのない救いの日と夜明けの始まりであり、正義の太陽はかげることがありません。きょう、キリストを通して、神の善さが明らかになりました(テトス3.4参照)。貧しき人々には神の愛が、善良な人々にはさらに恵みが、罪びとには救いへのチャンスが与えられます。きょう、キリストを通して、公正と忠実、正義と平和は天よりくだって抱きあい、地を満たします(詩篇85参照)。
実に、イエスは誕生し、わたしたちの神は地を治められます。幼子イエスを通して、喜びがわたしたちに及びます。イエスこそわれらの子、われらの平和、われらの善、われらの救いだからです(イザヤ9・5−6参照)。
きょう、キリストのうちに、神の勝利が示され、全地がそれを目にします(詩篇98・3参照)。きょう、わたしたちは人となられたみことばの神秘を黙想します。御父と共いた永遠のみことばは、わたしたちのところに住処を見つけます。きょう、わたしたちはその栄光を見るのです。それは神の御ひとり子としての栄光であり、恩恵と真理に満ちておられます(ヨハネ1.14参照)。全人類が祈り求め、待ちわびていた救いの約束が神によって見事に果たされたのです。
クリスマス、それは神のみ顔の真実を見極める時
人類がまことの神を知らず、ただ偶像を追い求め、さらには偶像のライバルとなっていたころ、主なる神はわたしたちの弱さを省みて恵みをたれてくださいました。実に、飼い葉桶の中で布に包まれ、か弱い姿で眠る乳飲み子の中にこそ神の真実があります。それは「永遠の栄光の輝きであり、しみのない鏡」(4LtCL14)であり、「天の美しさを身にまとったもの、天のエルサレムに住むものの幸せを呼び起こすもの」(4LtCL10−13)であります。
聖なる夜に、天使は「あなたがたは布に包まれて飼い葉桶に眠る乳飲み子を見つけるでしょう」(ルカ2.12参照)と告げました。この乳飲み子こそ「神の子であり、神のみことばなのです」(大レオ、QuestionXXI,2)。この赤ちゃんの中に神の愛と力があり、過ぎ行くこの世と永遠が結びついているのです(大レオ、QuestionXXI,2)。神は恐るべきライバルとしてではなく、愛すべき兄弟として、お世話すべき赤ちゃんとして来てくださいました。
クリスマス、それは人間が自分の真実の姿を見極める神秘
神のようになる事、これは人間にとって原初から魅惑に満ちた誘惑でした。けれども正確には、それは常に愛そのものである創造主たる神のようにではなく、人間が作り出し、気まぐれな力に支配されて死をもたらすだけの神もどきに、すなわち偶像のようになることでした。原初から私たちは天にも届く塔を立てようと試みたり、自分自身から逃げたりしてきました。クリスマスの神秘は今、私たちの目の前で、新たな創造のための新しい人の顔を見せます。
主のみ使いのお告げに従って、私たちは羊飼いたちと共にベツレヘムに行き、そこでマリアとヨゼフと、飼い葉桶に寝ている乳飲み子に出会いました(ルカ2,16参照)。そして私たちはそこでキリストの御心を知りました。そこであらゆる虚栄は無にされ、すべての敵対心は消え去りました。清貧の内に謙遜が再び生まれ、謙遜の内に喜びが、そして喜びの内に賛美が生まれます。愛の安らぎと、親しみをこめた思いやりと、聖霊における交わりが、私たちの家に訪れました。
私たちはベツレヘムへ急ぎ、私たちの救い主、メシア、主を探し当て、天から私たちに差し出された平和がこの世界全体を包むのを感じました。何という言葉を絶する神の叡智の神秘でしょう!主が仕えるために来られたのです。メシアは私たちを癒し解放するために聖霊によって油注がれたのです。救い主は私たちを御自分に惹きよせ、私たちを和解させるために、幼な子としてお生まれになりました。神のみ言葉は、私たちが造り主のもとに立ち返り、私たちに命を与えて下さった方を知る事ができるように受肉されました。私たちはかつて神に背き、その家を離れてしまいましたが、神のみ言葉は、私たちが造り主のもとに立ち返り、私たちに命を与えて下さった方を知る事ができるよう、そして奴隷であった身が自由にされて、自分が神の子に高められるのを見る事ができるよう、受肉されました(大レオ, Question XXV, 5参照)。
その聖なる夜に私たちはベツレヘムへ行きました。そして恵みによって、私たちが新たな誕生の神秘を知ることができるようにと、私たちの心の目は開かれたのです。神を羨み離れていった人間を、神はイエス・キリストにおいて熱愛をもって抱き取って下さいました(フィリピ2,6-7参照)
クリスマスの聖なる夜に、小さく貧しく降誕された神を観想し、私たちはすべての小さき人々、すべての貧しき人々の中にその方を認める事ができるようになりました。そしてベツレヘムの幼な子に向けられた私たちの柔らかくか弱い愛情は、その御手の中で飢えた人へのパンとなり、裸の人への衣服、病める人への暖かさ、牢獄につながれた人への慰め、そして貧窮の人への助けとなりました。
クリスマス、それはわたしたちの生活様式の真実を見極める時
誓願によって神に自分を捧げたわたしたちは聖霊の促しのままにキリストに従う生活を始めました。わたしたちの兄弟アシジのフランシスコは回心の時からいろいろな手段を識別しながら忠実にこの道を歩みました。本会の創立800年を迎えようとするわたしたちも識別しながら福音を根本的に生きるように呼ばれています。
フランシスコにとって、神のみことばは神の意思を知るための光でした。「神からの人は神のみことばを聞く」(ヨハネ8・47参照)からです。聖体祭儀で述べられる神のみことばは主との一致の源です。聖体拝領するとき、主のみことばをいただくのです。主の体への渇きは主のみことばへの渇きです。聖体の秘蹟でいただいた主の体はそのままわたしたちの中で主のみことばとなり、わたしたちを喜びと幸福で満たし、賛美の歌を歌わせてくれます
キリストの光と祝福がいつも兄弟・姉妹の皆様に上にありますように!!
皆様、クリスマスおめでとうございます!!
総長 兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョ、OFM
五人の小さき兄弟新宣教者の派遣−ベルギー
総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは、2005年11月19日土曜日ブリュッセルで、五人の小さき兄弟たちに宣教任命書を授与しました。その内でインド出身の兄弟アタナシウス・ササと兄弟アルヴィンド・ケルケッタ、ポーランド出身の兄弟ホノラト・ツウィクラ、エクアドル出身の兄弟ルイス・ガラルドの四人は、タイのフランシスカン連合に向かいます。そして韓国出身の兄弟モーゼス・キムは極東に向かいます。今回の祭儀をもって、総長から本会の宣教任命書を授与された兄弟の数は18人に達しました。祭儀はブリュッセルの「恵みの聖母」フランシスコ教会で行なわれました。出席者は小教区共同体の信者たち、フランシスカン家族の信者と修道者、それに同じ所で宣教活動を準備している小さき兄弟コンヴェンツァルとカプチンの、8人の未来の宣教者たちでした。今回のグループは、「ノートルダム・デ・ナシオン」共同体で養成を受けた、第五期の小さき兄弟宣教者となります。そして今回初めて、コンヴェンツァルとカプチンの仲間たちが共同で宣教準備課程を企画実行しました。
若い兄弟たちの宣教活性化−クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
「本会における宣教による福音化活動の配慮と推進」と「諸国民の間で」の宣教活動への召命の配慮及び促進は、福音宣教総事務局の重要なつとめの一つです(総則45)。総理事の兄弟シメ・サマッチと海外宣教総モデラトールの兄弟ヴィンチェンゾ・ブロカネッリは、この目的をもって2005年10月16日から28日まで南スラブ協議会の諸管区を訪問しました。
二人はこの「巡礼」の間に、ザグレブとサラエボとスプリトの「学生の家」で、数多くの有期誓願中の若い兄弟たちとその養成担当者に会いました。またリブノとヒュマッチとビソバチでは修練者たちに会いました。兄弟ブロカネッリはDVD「神はあなたがたを全世界にお遣しになった」を使って、フランシスカンの宣教者精神と本会の様々な宣教体験を伝えました。若い兄弟たちは全員、内的な宣教者養成のための教材を与えられています。それは聖地、モロッコ、アフリカ、タイ、ロシア、カザフスタンなど、全世界に広がる本会の膨大な存在における「諸国民のための」宣教者の召命を識別するのに役立ちます。
二人はヴィロヴィチカで、クロアチアにおけるフランシスカンの存在750周年を記念するシンポジウムの開会式にも出席しました。また、ボスニア・ヘルツェゴヴィナのオソヴァでは、兄弟ヴィエコ・キュリッチの両親に面会しました。そしてルワンダで宣教中1998年に落命した同兄弟を追悼して、小教区の共同体の人々と共に聖体祭儀が行なわれました。
夕べのミサで、兄弟ヴィンチェンゾは集まった数多くの信者に宣教者の福音のメッセージを送りました。スプリトでは、クララ会姉妹と若いフランシスカンたちに宣教者への招きが呼びかけられました。
在世フランシスコ会第11回総集会開催−イタリア
全世界の在世フランシスコ会の代表が、第11回総集会のために2005年11月5日から12日までアシジに集いました。46カ国からの57人の総会メンバーに加え、SFO国際評議会(CIOFS)議長団、新興の各国兄弟共同体代表、講演者、オブザーバー、それに諸組織からの参加者が一堂に会しました。総集会のテーマは「フランシスカンの斬新さ:宣教と証し」でした。
総集会の期間中、毎日多様な課題に対して取り組みが行なわれました:諸大陸と様々の文化圏における、フランシスカン・カリスマの光に照らした一般信徒の宣教と証しについて、又、SFO内でいっそう一致して共にカリスマを生きる召し出しを受けたフランシスカン・ユース部門の再出発について等が取り上げられました。総集会では、第二ヴァチカン公会議の決議40周年記念と、フランシスカン・カリスマ創立の800周年記念も祝いました。
作業の冒頭、会長のエンカルナシオン・デル・ポゾ氏と、総補佐協議会議長の兄弟イヴァン・マティッチがCIOFS議長団報告を行ない、次いで総会計のカルロ・セル氏が財務報告をしました。報告の中で、現CIOFS議長団任期の最初の3年間に、SFO国際兄弟共同体の示した進歩が指摘されました。特に養成の改善と、世界中の在世フランシスカンの存在の改善が強調されました。又、フランシスカン・カリスマをフランシスカン・ユースに伝えていく必要が強調され、出席した国際評議会議員は、彼らが代表となっている各国共同体とCIOFSとの間のコミュニケーションに実際的なパイプとなるよう要請されました。
総集会メンバーは11月9日水曜日、ローマのサン・ピエトロ寺院で教皇ベネディクト16世の一般謁見に出席しました。教皇は在世フランシスコ会の代表を迎えて話しかけられ、総集会が「アシジの聖フランシスコの模範に従って聖福音を至るところに広めるために、新たな使徒的熱意を鼓舞する機会となるように」希望されました。
お知らせ−世界のあちこちから
•9月に米国から27人の旅行者が、イタリアのマルケ州にある「フィオレッティ(小さき花々)の地」を訪れました。それは小さき兄弟たちに率いられてマルケの聖ヤコブ管区を訪れた、第三番目の巡礼団です。このイニシアティブは、フランシスカン・フィオレッティの立場の再評価とその促進に携わるイタリア−アメリカ在世フランシスカン(SFO)の協働のおかげで始まりました。
•イタリア南西部のカンパニア州にあるノラのフランシスカン家族合同研究センターは、8月に聖アントニオ総合大学付属となり、福者ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスの記念日の11月8日にその第一学期を開始しました。ノラ司教区ホールで式典が行なわれ、ナポリ管区長で現モデラトールの兄弟ルイジ・オルタグリオの挨拶と、研究センター長官の兄弟ジァチント・ダンジェロの紹介に続いて、養成と勉学総書記の兄弟マッシモ・フサレッリが「み言葉の香りと小さき兄弟会の文化的伝統」について公式の講話を発表しました。その後で兄弟フサレッリは福者の記念の祭儀を司式しました。最後に出席者は、賛美歌「Tota Pulchra」と共に16世紀以来ヨハネ・ドゥンス・スコトゥスが崇められている祭壇に行進し、福者に祈りを捧げました。
•アシジの二つの偉大なバシリカである聖フランシスコ聖堂と天使の聖母聖堂は、モンシニョール・ドメニコ・ソレンティノのアシジ新司教任命と共に、教皇ベネディクト16世から2005年11月9日付で出され11月19日土曜日に公表された最新のMotu proprio(自発教書)の主題となりました。教皇は公文書「De Basilicis Sancti Francisci et Sanctae Mariae Angelorum」の中で、聖フランシスコの遺物とポルチウンクラを護るこれらの場所を教皇庁が直轄している事を指摘されています。ベネディクト16世はアシジ司教区についてのより有効な理解のために、パウロ6世の定められた設定に加えて新たな決定を行なわれました。すなわち裁治権を持たない「教皇特使」の枢機卿が、二つのバシリカのために任命されます。特使は、自身の司式する主要な荘厳典礼の際に教皇の祝福を与える事ができます。アシジ司教は法の定めるところにより、教会と修道院が行う司牧活動に対して裁治権を持ちます。兄弟たちは、司牧的性格をもつすべてのイニシアティブについて司教に尋ね、その同意を得なければなりません。司教はウンブリア地区に関連するイニシアティブについて、ウンブリア司教協議会の意見を聴かなければなりません。又、より広範な地域に関連するイニシアティブについては、イタリア司教協議会議長の意見を聴かなければなりません。秘蹟の祭儀については教会法の規範と司教区の規範が適用されます。
•イスタンブールの聖マリア・ドラペリス国際兄弟共同体の企画した「エキュメニカルと諸宗教間対話」の第一回生涯養成講座(イタリア語)が、2005年10月23日から11月2日まで同地で開かれました。出席者は12人で、アングリカンのフランシスコ会(SSF)総長「兄弟ダニエル」もその一人でした。
•ハンガリーの聖ヨハネ・カピストラノ管区の小さき兄弟である兄弟ジルベルト・ナジマニョキは、「諸民族の正義の人」の名を献じられました。これは第二次世界大戦中に自らの生命の危険を冒して、ナチスによる民族大虐殺(ヘブライ語で「ショア」という語で知られている)から勇敢にユダヤ人を救出した非ユダヤ人を指しています。兄弟ジルベルトと仲間の兄弟たちは第二次大戦中ハンガリーで、避難する数多くのユダヤ人を助け、彼らを強制移送とその先のナチスの死の収容所から救いました。同兄弟の寛大な行為は、生きのびたユダヤ人の人々の証言によって確認されています。兄弟ジルベルト・ナジマニョキの名は、すでにエルサレムのヤド・ヴァシェム記念館に刻銘されています。記念館の敷地には「正義の人」一人一人に木が植えられています。同兄弟の英雄的行為を追想する勲章授与式典が、2005年11月28日ブダペストで行なわれました。兄弟ジルベルトは1988年に帰天しました。現在までに、20,000人を越える非ユダヤ人が「正義の人」の認定を受けています。
新管区長
兄弟ロゲリオ・ウーテルス:チリ「いとも聖なる三位一体」管区。
兄弟ジョン・ドクター:米国聖心管区(再選)。
総長の予定
12月14日 ローマ。「兄弟ガブリエレ・M・アッレグラ国際共同体」の学生の兄弟たちと会議。
12月15日 ローマ。「聖アントニオ国際兄弟共同体」と会議。
12月18日 ローマ。OFM総本部でフランシスカン家族協議会と会議。
12月19−22日 ローマ。OFM総本部で総理事会との会議。
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