平和は真理のうちに
ベネディクトゥス16世「世界平和の日」メッセージより
平和はすべての人の心のうちにある強固な願いであり、その人の特定の文化によるアイデンティティに左右されるものではありません。ですから、誰もがこの偉大な善への奉仕にかかわっていることを意識し、どんな偽りも人間関係を汚すことがないよう努力すべきなのです。すべての人が一つの同じ家族の一員です。個々の違いを極端に誇張することは、この基本的な原理に反しています。私たちは、私たち皆が、最終的にはすべてを超越した同じ行き先に向かっているという意識を取り戻す必要があります。それは、他の文化に属する人々との対立ではなく、協力のために、私たちの間にある歴史的、文化的な違いを最大限に生かすためなのです。このような純粋な意志をもって自らの心に耳を傾ければ、容易に理解できる素朴な真理こそ、平和を可能にします。こうして、平和は新しい姿で示されるのです。それは、ただの戦争の不在としてではなく、正義によって治められる社会での一人ひとりの市民の共生としての平和であり、そこでは、すべての人にとっての善が可能な限り実現されるのです。平和の真理は、豊かで誠実な関係を築き、ゆるしと和解の道を探求し、その道を歩むようにすべての人に呼びかけています。
また、他の人との交渉においては率直であり、自らの言葉には誠実であるようにと促しています。具体的には、キリストの弟子は、陰険な悪の存在と、神である師による解放が必要であることに気づいているのですから、「このかたは、罪をおかしたことがなく、その口には偽りがなかった」(一ペトロ2:22;イザヤ53:9参照)ことをわきまえつつ、信頼をもってこの方と向き合うのです。イエスは実に、ご自身が真理であることを明らかにし、黙示録の幻視者に現れて、「すべて偽りを好み、また行う者」(黙示録22:15)の完全な拒絶を宣言しました。イエスは人類とその歴史についての完全な真理を明らかにされたのです。イエスの恵みの力が、真理の「うちに」、真理に「よって」生きることを可能にします。イエスだけが、完全に真実で誠実な方だからです。イエスこそが、私たちに平和を与えて下さる真理なのです。
南スラブ協議会と西スラブ協議会が総理事会と会議−イタリア
総理事会と南スラブ協議会・西スラブ協議会の諸管区長との会議が2005年12月1日と2日の両日、アシジにあるCOMPI(イタリア管区長協議会)本部「Casa A Leonori」で開かれました。第一日目はアシジ管区長の兄弟マッシモ・レスキグリアンの歓迎挨拶に続いて、総理事の兄弟シメ・サマッチが出席者全員に会議の目的を思い起こさせながら作業内容を紹介しました。総長は世俗主義と物質主義に対する批判的注意を求め、それが協議会地域にも存在する事から、「それ故、平凡さに隠れた危険にうち克つために、管区長である皆様の配慮に委ねられた兄弟たちの宣教と生活の質を改善しなければなりません」と述べました。それは神の第一位性と、共同体における兄弟的生活と単純で質素な生活様式、それに生活の感謝と奉仕を強く求める事によって成し遂げられます。そのために必須の道程は、管区合同の協働及び修道会全体との協働です。各共同体は、一つの普遍的兄弟共同体であるという思いと修道会への帰属意識、そして本質の識別を再生させなければなりません。
「聖フランシスコ」連合議長の兄弟ジム・エドミントンは、様々な国籍の21人の兄弟たちが働いているロシア−カザフスタン地域での存在について述べました。現在、同地には2人の有期誓願者と5人の志願者(ロシア出身者3人、カザフスタン出身者2人)がいます。
スクタリのクララ会修道院落成−アルバニア
長年にわたる修復工事を経て、「聖クララの家」と呼ばれるアルバニアのクララ会修道院が2005年10月29日に落成しました。修道院は、アルバニア北部に位置するスクタリ市の中心にあります。建物は以前は小さき兄弟会の神学校でしたが、1946年エンヴェル・ホクサ政権に接収され、アルバニアの政治警察本部「Sigurimi i Shtetitt」となって、残酷な政治的宗教的弾圧執行の中核機関となりました。ホクサ政権崩壊後も建物は引き続き警察に保持され、町の刑務所として使用されました。そして1977年にようやく元の持ち主である小さき兄弟たちに返還された後、長い修復工事期間を経て2005年にクララ会に贈られました。この新しい共同体の構成メンバーは、オトラント(イタリア)の聖ニコラス修道院から赴任したアルバニア出身とイタリア出身の姉妹たちです。
2005年10月末にスクタリ大司教のモンシニョール・アンジェロ・マッサフラが荘厳な祝福を行ないました。その際にはアルバニア各地からカトリック教徒、東方教会信者、イスラム教徒、地元当局の代表など何百人もの人々が参列しました。大司教は説教の中で、クララ会の姉妹たちに向けて「アルバニアの人々のために神の第一位性のしるしとなり、聖霊の現存の反映となると共に、異なる文化の出会いの場となる」ように勧告しました。修道院はアルバニアの殉教の地の一つにそびえ立っています。
今からおよそ十年前まで、この地で多くの男女が信仰故に拷問を受けました。今、その同じ場所から姉妹たちが祈りと証しの内に神を賛美して、努力と苦しみを通して自分たちの困難な歴史を再構築しようと努める人々にとっての希望のしるしとなっています。小さき兄弟会の古い建物を再建する作業の中で、何千人もの人々が拘留され何百人もの司祭と信者が殉教した牢獄の一棟を保存したいという希望が生まれました。獄に繋がれた人々の残した信仰のしるしや象徴が、そのまま独房の壁に残されています。そのためスクタリの在世フランシスコ会は古い牢獄の扉を二週間に一度開放し、信仰弾圧の残虐行為について知りたいと願うすべての人々に公開する事を決定しました。
小さき兄弟会の新しい分管区−ギニアビサウ
総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョofmは、2005年12月7日ギニアビサウに新たな分管区を創設しました。開設は同地で働く兄弟全員に加え、イタリア、ポルトガルからの兄弟たちや総理事の兄弟マリオ・ファブレットも出席して、首都ビサウ市で行なわれました。ギニアにおけるフランシスカンの存在は、ポルトガルのフランシスカンの働きを通して1673年に始まりましたが、ポルトガル国内の修道会弾圧のために1834年退去を余儀なくされ、1932年再びギニアに戻って再開されました。今から50年前の1955年5月6日にはヴェネツィア管区(イタリア)のフランシスカンがギニアビサウに到着し、現在に至るまで同地には二つの連合がありました。この度両者はヴェネツィア管区直属の分管区として一つになりました。地元の召命のおかげで、ギニアビサウにおけるフランシスカンの存在の未来は有望です。これらの人々の一部は、現在ローマでさらに上級の勉学に励んでいます。
50年にわたるヘブライ語のミサ−イスラエル
エルサレムに在住するヘブライ語話者のカトリック共同体である「kheilà」は、2005年11月、その存在に50年目を迎えました。共同体は、イスラエルに到着した家族の間で異宗教間婚や異民族間婚があった事から、1948年に生まれました。ヨーロッパ諸国から同地に移り住んでユダヤ人と結婚したキリスト教徒は、聖所を訪ねカトリックの学校に通いました。これらの人々の共通語はヘブライ語でした。
1955年に彼らのために特別の司牧活動が開始され、祭儀にヘブライ語を用いる事について聖座に許可が求められました。ヴァアチカンは、当時祭儀で使用されていたラテン語の問題を乗り越え難く思う人々の懸念を抑えて、この申し出を承諾しました。ヘブライ語は「教会の古代語」だったので、典礼の一部で使用する事ができると説明されました。「kheilà 」の司牧の世話には聖地特別分管区の小さき兄弟たちが携わりました。現・特別分管区長の兄弟ピエルバッティスタ・ピッザバッラと、エルサレムのフラジェラシオンの聖書学部教員の兄弟マッシモ・パズィーニOFMは、1995年ヘブライ語を第一言語とするカトリック共同体のためにミサ典礼書「Seder seudat ha adon. Hebrew Ordo Missae」と他の典礼文を出版しました。カトリック教会カテキズムのヘブライ語訳は現在作成中です。
現在、ヘブライ語話者共同体はエルサレム、ヤファ、ハイファ、ベール・シェヴァの各地に全部で5つあり、それに加えて1990年代に移住してきたロシア人の共同体が二つあります。その中にはユダヤ人の子孫として、あるいは配偶者としてイスラエルの地を踏んだキリスト教徒が含まれています。
SFOに対する総補佐協議会の会議−ポルトガル
SFOに対する霊的総補佐協議会(CAS)は、毎月定例会議を開いています。毎年年末には、普段より長期の「Tempo forte」と呼ばれる会議を開き、年間に遂行された仕事の評価と、将来の仕事の計画を行ないます。今年度の会議は、ポルトガル全国選挙集会の後を受けて、2005年11月21日から27日までファティマ(ポルトガル)のカプチン兄弟の修道院で開かれました。出席者は三人の総補佐で、兄弟サミ・イルダヤOFMCap、兄弟マーチン・ビターOFMConv、兄弟イワン・マティッチOFMでした。兄弟マイケル・ヒギンズTORは米国在住の母堂逝去のため欠席しました。会議ではSFO総集会(2005年11月5−12日)とその結果についての考察や、2006年の活動日程の承認、各会議への出席と司牧的訪問、SFOとフランシスカン・ユースの会議への出席、在世会員と霊的補佐のための養成講座の準備、「コイノニア」の発行、SFOとフランシスカン・ユースの補佐のマニュアルの準備と出版等、多岐にわたるテーマが取り上げられました。総補佐は会議の期間中に、ファティマの牧者聖ルチアと福者フランシスコとヒアキントスの村と聖所を訪問する事ができました。
お知らせ−世界のあちこちから
※ 小さき兄弟会元総長の兄弟ジョン・D・ヴォーンは、2005年12月7日司祭叙階50周年を祝いました。現総長の兄弟ホセ・R・カルバッリョOFMは、祝辞の中で兄弟ジョンの長年の働き、特に総長としての12年間の奉仕を感謝し、世界中の兄弟たちが同兄弟のために祈る事を確信すると述べました。兄弟ジョン・ヴォーンは現在サンフランシスコ聖ボニフェス教会の共同体に住んでいます。住所は以下のとおりです:St. Boniface Church, 133 Golden Gate Ave., San Francisco, CA 94102.
※ 総本部の「とりなしの聖母マリア」共同体に新しく兄弟が加わりました。ベトナム聖フランシスコ管区の兄弟ピエトロ・グエン・ヴァン・ホァンです。
※ 聖アントニオ総合大学(PUA)哲学部は、人間学と神秘的認識に関するセミナーを企画しています。セミナーは2006年1月から5月まで6回行なわれ、人間の概念と神秘的認識とのつながりを探究します。セミナーは、一般に「神秘的」と呼ばれる、様々な文化と信仰における神の現存の直接的受動的な体験の証しと人間哲学との間の、真の対話となる事を願っています。講演者とその論題は以下の通りです:トーマス・スピドリック氏「神秘的叡智」、バーバラ・ファエス・デ・モットーニ氏「Excessus mentis, alienatio mentis, raptus nel Medioevo:その起源と結果」、ルイジ・ボッリエロ氏「アヴィラのテレサの現実主義:生きた神秘的体験」、ダリオ・アンティセリ氏「ルドウィグ・ウィトゲンシュタイン:論理の神秘」、ヴィンチェンゾ・ヴィティエッロ氏「奇跡の中の奇跡:その本質は何か」、 ジョヴァンニ・レアレ氏「プラトン:実体験と神秘的概念」。詳細はPUA事務局下記宛にお問い合わせ下さい:
Secretariat of the PUA: via Merulana, 124, 00185 Rome (Italy).
tel. +39.0670373502 - fax +39.0670373604
e-mail antonianumsegr@ofm.org
フランシスカン新刊の栞
ナンド・シモネッティ著「ベネディクトゥス15世の教導職における平和の神学の原理」2005年、天使の聖母聖堂ポルチウンクラ出版。全304頁。ベネディクトゥス15世は(第一次世界大戦下)「無用の大虐殺」という状況において全力を傾けて平和の推進に携わり、驚くべき現実性をもって福音的平和主義の真の姿を掘り下げ探究して、この「神の素晴らしい賜物」に到達するための道をたゆまず示しました。著者は関係公文書を状況に当てはめて論理関係を設定する作業や歴史分析を行ない、ヴァチカン機密文書保管所の研究の重要な裏付けも得て、平和の神学の歴史に興味深い研究を提示します。そして同時代の人々に「平和の自発的殉教者」と呼ばれた教皇の教導職における原理を概観しています。
総長の予定
1月6日 主の公現。アラコリの聖母聖堂、ローマ。
1月9日−14日 総本部にて総理事会との会議、ローマ。
1月16日−24日 総本部にて新管区長との会議、ローマ。
1月21日 本会創立800周年記念祝典開始。聖アントニオ聖堂、ローマ(ヴィア・メルラナ)。
1月28日−31日 パラグァイのフランシスカン分管区の兄弟たちを訪問。
日本管区ニュース
●誓願金銀祝
2006年度の誓願金銀祝のお祝いは2月4日(土)午前11時から六本木のチャペルセンターで行われます。
金祝:1)兄弟青木孝由、2)兄弟バルトロメオ・マクマホン、3)兄弟ルカ・ボナビゴ、4)兄弟ナルチゾ・カバッツォラ
銀祝:5)兄弟金子尚志
●兄弟新直己の助祭叙階式:2月11日(土)瀬田修道院で11時から。
●人事異動
1)兄弟小西広志(ローマ):高崎修道院(分院)へ(1/15)。
2)兄弟アルフォンソ・プポ(六本木):北見修道院(分院)へ(2/7)。
●「戦後60年 平和の祈り」という小冊子が、日本カトリック正義と平和協議会が出しました。「平和の道具」からも、祈りが採用されています。四旬節にも使えるテキストです。入手が可能です(100円)。
●マニラから: 2006年もスタートして早1月を終えようとしています。このたび、新しいホームページを作ってみました。ご笑納ください。兄弟アポロニオ佐藤宝倉 http://www.hpmix.com/home/psfadcmanila/
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