<バックナンバー>

2006年3月号

《英語、フランス語、イタリア語版他》

現代に拒まれた人々を抱きしめて預言を生きる

第二回「正義と平和と被造物の統合」国際会議への総長の提言より

もし先に示された私たちの生活のあらゆる次元が考慮されるなら、「ハンセン病者」を喜んで受け入れ、顧みられず取り残された人々の意思を支持するという私たちの選択は、この現代のような世界−それは南北に深く引き裂かれ、ほとんどすべてを持つ少数者とほとんど何も持たぬ多数者とに分断された世界です−において、確かに預言者としての態度でありましょう。なぜなら預言者たちは神について、人間を熱烈に愛されたナザレのイエスの神について、「エジプトにいる民の苦しみをつぶさに見、彼らの叫び声を聞く」(出エジプト記3,7.9参照)神について語るからです。

預言は、受けなければならず応えなければならない賜物です。奉献生活は「キリストの預言者としての務めにあずかる特別な形で現れます」(奉献生活84)。私たちは小さき兄弟として全面的にこの務めにあずかります。そして開かれた広い心で預言を賜物として受け入れ、それに応える事により、すなわちこの賜物を教会と世界の奉仕に捧げる事によって、預言を広めるために召し出されています。唯一このようにしてのみ、私たちはその民に対する神の熱情と完全に一致します。神の御計画に心酔し、神と神に「愛された」民のためにすべてを差し出したいと願います。

けれども、ここでもう一度言いましょう:言葉を通して表され、希望を告げ知らせ不正を告発するこの預言は、それが深い連帯と、神の国を中心にした生活の証しとから生まれる限りにおいてのみ力を持ちます。神とその御計画との深い交わり、あるいは私たちの場合少なくとも兄弟的生活の深い交わり、そして教会及び「ローマ教会の様式に従って生きる」人々との深い交わりから生まれる限りにおいてのみ、力を持ちます。唯一このようにしてのみ、私たちの「預言の言葉」は人々の心に届く事ができます。その心を生活の新たな地平に向かって開き、個々人が作り上げてきた利己的な防御壁に異議を唱える事が可能となります。このようにしてのみ、私たちの「預言の声」は教会の人々を導く事ができます。そして時として組織や制度の中で、あるいは一貫性のなさの故に曖昧になってしまう事のあるイエスの真の計画について、彼らに想い起こさせる事ができます。このようにしてのみ私たちの預言は、不正を告発し、すべての善意の人々に心と力を一つにして神の御計画による「新しい世界」を建設するよう求めて、世界に向かって語りかける事ができるのです。

第二回「正義と平和と被造物の統合」国際会議−ブラジル

第二回小さき兄弟会「正義と平和と被造物の統合」(JPIC)担当者国際会議が、2006年1月28日から2月8日まで、ブラジルのミナスジェライス州にあるウベルランディアで開かれました。会議はローマJPIC担当室の兄弟ルイス・カブレラと兄弟ジョー・ロザンスキーにブラジル・ファチマの聖母連合が協働して企画され、テーマは「現代に拒まれた人々を抱きしめて」でした。世界中から集まった参加者は10日間、現代社会における「排除」の原因について話し合い、考察する事ができました。会議では、現代の政治・社会・経済制度において全く顧みられない人々に向かう新たな道を引き受け、着手するための提案を練り上げました。会議で採用された方法論は新しいもので、参加者は知的レベルで関わるだけでなく、排除され取り残された人々の中で生きる体験をする機会を与えられました。ハンセン病者を抱きしめたフランシスコのように、兄弟たちは貧しく十字架につけられたイエスの「秘蹟」を、貧しい人々の中で現実に自分のものとし、認識する事ができました。会議の中心となったのは、兄弟たちが「sem terra」(土地を持たない)運動のキャンプで、すべての所有物を自由に分かち合っている住民たちの泊まり客として生活した2日間でした。体験はウベルランディア司教の司式による聖体祭儀と素晴らしい祭をもって終了しました。

ベンガジのフランシスカンの深刻な状況−リビア

2月後半リビアのベンガジに起こった暴動のため、2人のフィリピン人の兄弟たちと2人のポーランド人の兄弟たち、それに司教区司教のモンシニョール・シルヴェステル・カルメル・マグロOFMと姉妹たちは、住居を放棄して首都トリポリへの避難を余儀なくされました。本会のリビア消息筋は、「教会とフランシスカンの修道院は焼かれたが修道者は被害を免れた」と報じています。

本会総長のホセ・ロドリゲス・カルバッリョはベンガジに住む兄弟姉妹やキリスト教徒に手紙を送り、次のように記しました。

「皆様と共に、そして皆様のおかげで、全小さき兄弟会はこんにちもなお、イスラム世界において800年間途切れる事のなかった私たちの平和的な存在の歴史に忠実であり続けようという堅固な意志を繰り返しています。それは1219年にフランシスコがスルタンのメレク・エル・カメルに対面して以来続いています。それ故私たちは、教皇ベネディクトゥス16世が2005年8月20日ケルンでイスラム共同体との会議上述べられた事と完全な一体感を持っています。そしてこの極限的な緊急事態に際して教皇と共に、『否定的な圧力に屈する事なく、相互の尊重と連帯と平和の価値を確信し』たいと願っています。なぜなら、『キリスト教徒であろうとイスラム教徒であろうと、人間一人ひとりの命は神聖なものだ』からです」。総長は、信仰と文化の伝統に存在するこれらの価値を追求し続ける意思を、再度表明しました。これらの価値は、イデオロギーの壁や経済的利益を乗り越えて各人の尊厳と基本的人権を認識するように、人々の間に一致をもたらします。兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョは「それ故私たちは、正義と静穏と平和が再びリビアを統べるよう望みつつ、そのための私たちの兄弟的な祈りを皆様に約束します」と結びました。

サン・ダミアノの十字架の巡礼−イタリア

聖フランシスコに話しかけた十字架の旅が、2005年9月24日土曜日、総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョの司式による祭儀の後、アシジのサン・ダミアノ聖堂を出発しました。これは800年前の1206年春にサン・ダミアノの十字架と若きアシジのフランシスコとの間に交わされた会話を再び続けようと、イタリアの小さき兄弟召命担当者が発案したものです。十字架は原物を管理している小さき兄弟たちやクララ会姉妹にとってだけでなく、教会の歴史や、祈りにおいてこの十字架に支えられた多くの若者の歴史にとっても大切です。そして十字架が若きアシジのフランシスコに話しかけられた事を知らない人々にも、目に見えて注目されます。サン・ダミアノの十字架の「巡礼」は、若者たちの福音化の機会として、イタリアの小さき兄弟たちによって提案されました。現在、十字架の幾つかの複製品がイタリア各地を移動しており、黙想会やイベントや祭儀を通して若い人々の集いや、特に福音宣教のイニシアティブの好機となっています。幾つかの町では、十字架の文化的意味合いのみならずもっと霊的側面に関心を寄せて、門戸を開放する大学も見られました。「巡礼」の公式終了期日は2006年9月17日ですが、幾つかの管区では十字架の旅を今後も続けて、私たちの800年間のカリスマの記念にこのしるしを伴おうという考えがまとまっています。

ヴェゼレーヘのヨーロッパ巡礼:「新たな地平に向かって」−フランス

若者と召命の司牧的配慮を委ねられた兄弟たちの国際会議(2000年アシジ)の後を受けて、中央ヨーロッパ代表は、イタリアの小さき兄弟たちが召命を求める若者たちのために行なっている「アシジ・マーチ」と同様のイニシアティブを考え出しました。そして2003年には、ブルゴーニュ(フランス)の中世都市ヴェゼレーに向かう第一回ヨーロッパ巡礼行進が連続的に行なわれました。小さき兄弟たちはフランシスコの時代(1217年)にヴェゼレーに到着し、現在は観想の生活を送っています。4人の兄弟たちの住むフランシスカン隠遁所は、「永遠の丘」のふもとにあります。丘には聖マリア・マグダレナの遺物が納められた有名な12世紀の大修道院教会が建っていて、ユネスコ世界遺産に指定されています。今年の巡礼は、「新たな地平に向かって」というテーマで2006年7月31日から8月8日まで行なわれ、小さき兄弟たちとカプチン、クララ会、西ヨーロッパのフランシスカン姉妹たちが担当を引き受けます。コースは10の道筋から、テント村が用意されているヴェズレーに合流します。クララ会の国際共同体が隠遁所の小さき兄弟たちと共に、観想の祈りと心を込めた傾聴と和解のための場を用意します。希望者には、案内者を伴う大修道院教会見学が数ヶ国語で準備されています。

このイニシアティブは、第二次世界大戦終結直後の1946年に平和の賜物を願って、対戦諸国の代表が参加して行なわれた巡礼の60周年記念と時を同じくしています。フランシスカン家族の国際性は、経済だけでなく(文化や宗教の違いを含めた)人間性の尊重を基盤にして、顧みられない人々や移民やうち捨てられた人々−すなわちこの現代の貧困という形の犠牲者−への配慮を通してヨーロッパを構築する主導者の立場に、私たちを立たせます。ヨーロッパ巡礼とその参加形態についての詳細は、下記ウェブサイトに掲載中です http://vezelay2006.objectis.net/

コーディネーター責任者の下記兄弟宛の問い合わせも受付けています:
Br. Markus Laibach, Kreuzweg 23, D. 65719 Hofheim am Taunus. 
eMail: markus.laibach@franziskaner.de
Br. Mattie Jeukens Volastraat 25, NL 6224 Ek Maastricht. 
eMail: jmpp.jeukens@planet.nl
Br. Eric Moisdon Grottes de St Antoine, F-19100 Brive la Gaillarde. 
eMail: vezelay.fr@franciscain.net


SFO全国集会−韓国/日本

SFOへの総補佐を務める兄弟イヴァン・マティッチは、2006年1月13日から15日まで韓国、1月末に日本と、1月中に極東で行なわれた二つの全国選挙集会に出席しました。

韓国は12の地域共同体があって、10,000人を超える在世フランシスカンがいます。集会には全国補佐の兄弟トビア・キムOFMConvと兄弟ダミアン・キムOFM、SFO会長のエンカルナシオン・デル・ポゾ氏が出席しました。会長と総補佐は集会の間にソウルのヤング・フランシスカンのグループと会談しました。彼らの一部はドイツで開催された「2005年世界青年の日」の際、フランシスカン・ユースの国際会議に参加しました。1月14日には選挙が行なわれ、全国会長にアウグスティノ・チョウ氏、国際評議会委員にヒヤシンタ・ウォン氏が選出されました。

日本の全国選挙集会は、1月20日から22日まで横浜で開かれました。日本には8つの地域共同体があり、全国補佐は兄弟ルイス・キサノOFMCap、兄弟ルドヴィコ古川OFMConv、兄弟フィリポ濱田OFMです。1月22日に、フランシスコ武田文彦氏が全国会長及び国際評議会委員として再確認されました。

SFO会長のエンカルナシオン・デル・ポゾ氏と総補佐の兄弟イヴァン・マティッチOFMは、1月16日から19日まで日本各地の在世フランシスカンを訪問しました。最初の会議は長崎で、九州地区の様々な共同体から100人以上の在世フランシスカンが集まりました。最も意義深かったのは、兄弟的な素晴らしい会議に続いて行なわれた大聖堂での聖体祭儀でした。その後エンカルナシオン氏と兄弟イヴァンは日本26聖殉教者の殉教の地や原爆記念館、聖マクシミリアン・コルベの築いた修道院等を訪れました。二番目の会議は1月22日午後、東京地区の共同体から数百人の在世フランシスカンが出席して東京の小さき兄弟会修道院で開かれました。最後の会議は京都市の在世フランシスカンと行なわれました。かつて日本の最初の殉教者たちはこの地に住み、そこから自身の殉教の地となる長崎に向かいました。

お知らせ−世界のあちこちから

小さき兄弟会総理事会は、「西スラブ」協議会の名称について、同協議会を構成する諸共同体から提出されていた名称変更願を承認しました。2006年2月11日の会議上、協議会を構成する共同体の地理的分布に一致させて、今後は「北スラブ」と呼ぶ事が合意されました。北スラブ協議会は、以下の9つの共同体で構成されています:聖母被昇天管区(ポーランド)、聖ヘドウィグ管区(ポーランド)、無原罪の御宿り管区(ポーランド)、天使の聖母管区(ポーランド)、アシジの聖フランシスコ管区(ポーランド)、いとも聖なる救い主管区(スロヴァキア)、聖ウェンセスラスのボヘミア−モラヴィア管区(チェコ共和国)、大天使聖ミカエル管区(ウクライナ)、アシジの聖フランシシスコ連合(ロシアとカザフスタン)。

フランシスカン新刊の栞

「SFOとフランシスカン・ユースに対する補佐の手引き」AA.VV.。SFOに対する総補佐協議会、2006年ローマ。全400頁。この手引き書は、SFOとフランシスカン・ユースへの補佐に献身している霊的補佐や管区長からの再三の求めに対する応えと言えます。テクストは以下のような多様なテーマを取り上げています:SFOの歴史、在世フランシスカンのアイデンティティと使命、霊的補佐と司牧補佐、ヤング・フランシスカン、ヘラルド(年少者)、SFOと他グループとの協働。第7章にはSFOの会則と霊的補佐のための現行の規則が収められています。在世フランシスコ会が8世紀の歴史に亘って保持した旧会則は、巻末に掲載されています。テクストのイタリア語改訂版は、小さき兄弟会SFOに対する総補佐を務める兄弟イヴァン・マティッチがまとめました。他言語版も近日中に出版されます。

日本管区ニュース

●新しい修練院で初の着衣式
3月18日(土)さいたま修練院の夕の祈りの中で、兄弟今井敬之の着衣式が行われました。修練院が2004年に新築されてから初の着衣式だったため、桐生、六本木、田園調布などからも兄弟たちが訪れ、着衣の喜びを分かち合いました。一年間を通じて新しい建物で修練期が行われるのは今回が初めてです。来年も新たな修練者が続くようお祈りください。

●来日中の兄弟
大阪修道院に韓国管区から兄弟ヴィアンネ金在渉が二月に来日しました。兄弟金は召命担当、有期誓願者養成担当、小教区主任司祭等を経て、今年サバティカルを取っています。一年間、日本語の勉強と生野教会で韓国語ミサの手伝いをすることになっています。

●帰国の兄弟たち
 
@中国から休暇帰国した兄弟たちは、一ケ月ほど滞在します。
 Aロシアの兄弟根本昭雄は4月6日逗留許可更新のために一時帰国します。