過去の遺産の守護者
2006年復活祭に向けて総長の手紙より
2006年の復活祭は、本会の歴史と使命において特別な時に祝うことになります。今年は実に、聖フランシスコがサン・ダミアノの十字架に出会った時から丁度800年になるからです。「アシジのポヴェレッロ(貧者)」の回心の始まりとなったこの出会いは、2009年に会の創立800年祭を祝う私たちの準備過程の第一段階の中心をなすものです。2006年はまた、臨時総集会の年でもあり、そこで私たちは普遍的な兄弟会として、2005年10月4日の手紙に書きましたように、「主が私たちに求めておられることに注意深く耳を傾け、誓願を立てた日に一人一人が約束したことを守る最善の道を探り、そして、決意も新たに、世界中の兄弟姉妹にキリストの福音を宣べ伝えるために、立ち止まり、共に考える時間を持つ」ことができるでしょう。
2006年のこの復活祭の手紙も、その内容において、また、特に向けられた人々において、特別なものとなっています。私はこの手紙を、高齢の兄弟たちと病気の兄弟たちに宛てて書いております。特に病気の兄弟たちは、私たちのために貧しく十字架に付けられたキリストの「肖像」を生きているのであって、それゆえに、師父フランシスコが望んだとおり、「特別の恵みを受けた」兄弟なのです。
私はあなた方に私の友情と兄弟愛と感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。なぜなら、あなた方は会にとって、教会にとって、そして現代の人々にとって大切な方たちであり、会への召命と、会および総長と総理事会の宣教プロジェクト、そして特に、この2006年の間、臨時総集会と私たちの「生活様式」の創立800年祭のために、あなた方に祈っていただきたいからです。
この手紙はまた、「高齢の兄弟たち」に宛てたものですが、世代間の相互依存関係と連帯を強めるために、すべての兄弟にも読んでいただき、よく考えていただきたいのです。そうすれば、すべての兄弟が互いの才能や霊の賜物によって豊かにされるでしょう。
総長の訪問−ベトナム
過去三度の試みが実現叶わずに終わった後、小さき兄弟会総長の兄弟ホセ・ロドリゲス・カルバッリョはハノイ政府に認められた特別ビザによって、2006年2月23日から28日までベトナム聖フランシスコ管区を訪問する事ができました。兄弟ホセには総理事の兄弟アンブローズ・ヴァン・シが同伴しました。
ベトナム管区は1929年、フランス人小さき兄弟の兄弟モーリス・ベルタンによって創設されました。現在、120人の荘厳誓願を立てた兄弟と、53人の有期誓願の兄弟、13人の修練者、13人の志願者がいます。小さき兄弟たちの活動の一つは、幾つかの小教区教会と少数民族の司牧の世話です。訪問は「ローマの客人」にとって集中的で忙しいものでした。二人は2月23日午後に到着するとすぐに、管区理事会や修道院長、副院長と一連の会議を開始しました。それから数日間は養成担当者と養成を受けている人たち、クララ会、マリアの宣教者フランシスコ修道会、SFOとヤング・フランシスカンとの会議を続け、ベトナム人の元フランシスカンたちとも会議を持ちました。二人の客人はバ・リア管区内のホーチミン市やハ・トランへ自由に旅をして、荘厳誓願を立てた兄弟たちのほぼ全員と会い、管区を構成する17の共同体のうち9つの共同体を訪問しました。総長は兄弟アンブローズ・ヴァン・シや管区長、副管区長と共に、ホーチミン枢機卿の洗礼者ヨハネ・ファム、ベトナム司教区協議会議長でハ・トランの司教モンシニョール・パウロ・グエン・ヴァン・ホア、補佐司教モンシニョール・ヨゼフ・ヴォ・デュク・ミンを訪ねました。
訪問の終わりに総長は、兄弟愛に満ちた歓迎と心地よい滞在であった事を兄弟たちに感謝しました。そして管区が生き生きと成長していて将来が有望である事を高く評価しました。兄弟カルバッリョは兄弟たちが未来の挑戦に向き合うための準備として幾つかの指示を行ない、フランシスカン家族全体に、主を頼みにして勇敢にその旅を続けるよう求めました。
福音宣教国際評議会−サント・ドミンゴ
「宣教と福音化における記念と預言:行って告げ知らせ再発見する、宣教する兄弟共同体である事の読み直しに向かって」。これが2006年2月13日から21日までサント・ドミンゴで行なわれた、福音宣教国際評議会の定例集会のテーマでした。OFM諸協議会と聖地特別分管区の代表、福音宣教総書記、海外宣教モデラトール、対話委員会の会長、集会議長の兄弟パウロ・スエス、地元の分管区長、それに通訳が会議に参加しました。総長はメッセージの中で、神のみ言葉を従順に受け入れ力強く宣べ伝える事によって800年祭の精神を担うよう、参加者に要請しました。そして現代の文化に福音の種を蒔くために、アメリカ大陸に最初に福音を伝えた宣教者たちの熱情を再現し、勉学と聖性を統合して彼らを心にとどめるよう求めました。
最後の提議では、福音宣教のための詳細な教材を本会全体に配布する必要がある事と、初期及び生涯養成に福音宣教を基本的なテーマとして導入する事の重要性が強調されました。
あなたの存在は大切です!−フランス
フランス「三人の仲間」管区長の兄弟ロジャー・マーシャルは、2006年2月18日ジュラヴィル拘置所の教戒師に招かれて聖体祭儀を行ないました。ミサの前に一人の拘留者が次のようなメッセージを読み上げました。
「私たちはジュラヴィル拘置所のキリスト教徒で、あなたを喜んで迎えるものです。私たちはその人生のある時点で社会の規範を破りました。そのため、私たちを自分の大切な人々から引き離すことが有益であるという審判が下されました。私たちは皆、この別離に苦しんでいます。囚人たちとその家族一人ひとりが、この隔たりを生きています。本当の牢獄は心の中にあるのです。
この監獄の厳しい環境の中で、私たちは皆存在の道を探し求めています。今朝私たちが集められたのは、特別に恵みを受けた場所です。ここで私たちはガンガン響く廊下の騒音や鍵の音や牢獄の制限をしばし脱して、ささやかな静穏と落ち着きを見出します。ロジャー神父様、私たちは毎週日曜日、キリスト者の分かち合いの安らぎを求め、私たちの教戒師の話を注意深く聴くためにやって来ます。それはまた、鉄の扉が背後で閉められた時からもはや過去の自分ではあり得ない私たちが、自分が神の子である事を思い出す時でもあります。そうです、私たちの弱さにもかかわらず、主イエスは私たちを受け入れ、ゆるしを与えて下さいました。神のみ言葉は苦しみと不正に打ち勝ちます。拒まれた者である私たちは、このゆるしの内に生まれ変わるための力を見出すでしょう。
ロジャー神父様、あなたの存在は私たちに自尊心と安らぎを与えてくれます。そして私たち一人ひとりに向き合ってくれる兄弟の関わり方もまた、大変すばらしいものです。『神はすべてを与えて下さり、闇でさえも光に変えられた』。あなたは私たちの悔い改めの道を導いて下さる、まさにその光です。私たちと共にいて下さる事を感謝致します」
お知らせ−世界のあちこちから
* 聖地特別分管区長の兄弟ピエルバッティスタ・ピッザバラは、ナザレのお告げの聖堂で引き起こされた狂気じみた襲撃の実行者に、3月6日月曜日面会しました。面会はユダヤ人のハイム・エリアフウ・ハビビ43歳とその妻でクリスチャンのヴィオレッテ、それにその娘が逮捕拘留されているナザレの警察署で行なわれました。分管区長は彼らと個人的に数分間しか対面する事ができませんでした。そのためハビビ一家は「なぜ教会を襲ったのか、それも二度も(2002年ベツレヘムの聖堂に対して襲撃の脅迫が行われた)」という問いに答える事ができませんでした。分管区長は以下のように続けました:彼らは窮乏した家族です。息子の一人が社会福祉の支援を断たれたため一家は崩壊状態になってしまいました。これは本当に貧しい家族の問題です。私は彼らに深く心を動かされました。彼らは自分たちの行為について私にゆるしを乞い、私は彼らをゆるしました」。
* 「復活祭の喜びに向かって」というのが、フランスのクララ会が四旬節を共にするためインターネット上で人々に呼びかけたイニシアティブのテーマです。この提案は、その日を目指す短い黙想からなっています。クララが私たちの先に立ってその学びやである福音の道に沿い、復活された主を受け入れる準備へと導きます。恐れずにキリストの足跡を進みましょう!キリストこそが道であり、真実であり命です。黙想はe-メイルで送信されます。下記アドレスの「Semain Sainte(聖週間)」に御記名下さい。
clarissesfrance@aol.com、http://www.franciscain.net/clarisses.
* 総理事会は3月の会議で、グロッタ・フェラータにある聖ボナヴェントゥラ大学の研究調査活動をローマのイシドロ大学に移す事を決定しました。グロッタ・フェラータの建物は2003年総集会で設置された国際評議会の示唆どおり貸し出されます。
* 「修道生活刷新教令とフランシスカン家族−公布から40年の評価と展望」というテーマについて学ぶ日が、2006年5月3日聖アントニオ総合大学で開かれます。これは大学の霊性研究所が、アシジの聖フランシスコの原始会則承認800周年を記念する枠組みで企画したもので、主な講演者は奉献・使徒的生活会省長官のフランク・ロデ枢機卿、サルヴァトーレ・アブルッゼ教授OFM、チェーザレ・ヴァイアニ教授OFM、パオロ・マルティネッリ教授OFMCapです。
フランシスカン新刊の栞
ピエトロ・メッサ著「ヨハネ・パウロ二世と『アシジ精神』、アイデンティティと対話の間の平和の預言」。ポルチウンクラ出版、天使の聖母聖堂、2006年。
「アシジ精神」:ヨハネ・パウロ二世は1986年10月27日聖フランシスコの町で、「偉大な平和の賜物」を願って山頂から互いに祈ろうと招いた世界の主要な宗教の指導者たちに呼びかけた時、この新しい名句を造り出しました。それは教皇ヴォイチワの教皇職における大きな業績の一つでしたが、同時に大きな論争をも引き起こしました。実際、一部にはこのプロジェクトの中にカトリック信仰に対する背信行為の可能性を見て、その意義を歪める意見もありました。また反対に、ひとつの宗教という混合主義的な夢想として解釈する見方もありました。本稿はすべての問題に余す余地なく完全な一つの応えを出そうとするのではなく、内省と深い研究に役立つ幾つかの進路を示そうと提案するものです。著者はローマ聖アントニオ大学の中世及びフランシスカン上級研究所を統轄し、数年前からアシジ神学研究所でも「アシジ精神−その歴史的基盤、出来事、後世」という講座を持っています。
総長の予定
4月4日-7日 カラブリア「7人の聖殉教者」管区訪問(イタリア)。
4月10日 フランシスカン家族協議会の会議。ローマ。
4月19-21日 ドイツ管区理事と会議。
4月22-26日 ポルト・アレグレ「聖フランシスコ」管区訪問(ブラジル)。
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