パンクレアトール

5月16日

アンジェロ 春山 勝美 神父
Fr.Angelo Haruyama Katsumi, OFM
haruyama@netvision.net.il

パンクレアトルキリスト復活聖堂(お墓)と凱旋のアーチで結ばれているのが十字軍が残したロマネスク様式の傑作、コールスドミノールム(Chorus Dominorum)です。現在では、ギリシャオーソドックス教会の専有聖堂、カトリコン(Katholikon)と呼ばれています。数年前、ドームのモザイクが完成しました。(写真:パンクレアトール)頂点に描かれているのがパントクレアトルと呼ばれるキリストです。

ペテロは聖霊降臨の場で、集まった人々に宣教しました:「あなたがたが十字架につけたこのイエズスを、神は、主ともメシアともなさった(使徒行録2.36)」。さらに、カイザリアの百人隊長、コルネリオの前で、このイエスが「生きているものと死んだものとも審判者」であると証言しています。

ヨハネも黙示録で、子羊は「玉座にいますわれらの神と(7.10)」同じ栄光を受けるものであり、「世々限りなく支配する(11.15)」メシアであり、「あなたの裁きは真実で正しい。(19.2)」とほめたたえています。

パントクレアトルは左手に本を持っています。これは「いのちの書(3.5;20.12)」で、救われた者の名が記されています。パントクレアトルの周りには子羊の婚姻の宴に招かれた「花嫁」が「光り輝く亜麻布(19.8)」を着て、救いを言祝いでいます。パントクレアトルは西に向いています。おん母聖マリアも西に向いています。

その対は洗礼者聖ヨハネです。南に聖ガブリエル、北に聖ミカエルと救いに関わりのあった大天使が対しています。聖母の左にはエルサレム初代司教聖ヤコボ、その左が第二代聖シメオンです。聖母マリアは、十字架のおん子から使徒聖ヨハネを託されました(ヨハネ19.26)。おん子の意図はヨハネ一人にとどまらず、十字架であがなうすべての人々でした。

これを理解した聖母は、今でも、母の愛を持って私たちを見守ってくださいます。また、エルサレムの司教たちが描かれているのはエルサレムを全世界に広がる、子羊の「花嫁」と理解したいです。この下、窓枠の間にセラフィムが見えます。セラフカトパンクレアトルィムはイザヤによると、神のもっとも身近にあって、日夜、「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな」と賛美する天使です(イザヤ6.1-5)。この役割を負うセラフィムの上位に救われた私たちがいます。人間は構造的には天使の下位です。

この人間が人となられたキリストの人性を介して、神性に与かることが出来ます。救われた人々は神のいのちで生きるので、単なる霊的存在の天使より上位となるのです。パントレアトルは死から復活し、昇天し、おん父の右に座したイエスキリストが宇宙の創造主、支配者、審判者であることの信仰宣言です。ギリシャ教会はこのドームを救われた者の世界、天国としました。

カトリック側カルヴァリオ、十字架の道行き第十留天井の十字軍の残したパントクレアトル
(写真:カトパントクレアトル)

アンジェロ春山勝美神父