9月11日、午後三時(イスラエル時間)のJSTV(NHK国際放送)は関東地方に接近した台風関係のニュースでした。午後五時、夕の祈り、主の受難・死・復活記念の行列を終えて、再び、テレビを入れたら、ニューヨークからの実況で、WTC北側のビルが煙突のように黒煙を吐き出していました。間もなく、2機目が南側のビルに激突し、炎上する場面となりました。テレビは同時通訳で聞きづらかったので、EuroNewsに変えたら、英語とフランス語で要領がつかめず、コンピューターを立ち上げ、BBCWorldにアックセスしました。アメリカがテロリストに襲われたことが分かりました。テレビの画面に「実況」LIVE」とあるのが腹立たしく、これは映画なんだと言い聞かせたいくらいでした。この時点ではTheJerusalemPostは速報でも伝えていませんでした。
8月9日、エルサレム繁華街のSbarroレストランが神風テロリストに襲われ、15人の死者と100人を越える負傷者を出しました。テロイスムを断罪するのは、不意打ちであり、不特定多数の無差別殺害だからです。テロリストの標的からは誰一人除外せれていないのです。それに、パレステイナ・テロを見ると、テロリストの行動がパレステイナ住民をますます苦しめ、テロリストが目指すパレステイナ国家建設をより遠いものにし、あるいは不可能にしているからです。この事は「神風テロ」(URL:http://www.ofm-j.or.jp)で扱いました。
ニューヨークの事件が伝わると、パレステイナ暫定自治区内のナブルスで住民に祝いキャンデーが配られ、東エルサレムでは自動車が警笛を鳴らし、人々が歓喜する様が、テレビで流れました。翌日(12日)、イスラエル新聞には写真入で報道されました。しかし、13日、アメリカがテロリストとその組織それにその支援者、テロリストをかくまうものに対しても厳しく臨むことが伝わってから、パレステイナ当局は外国のメデイアにその部分のカットを命じました。そして、アメリカの同盟国、友好国ばかりでなく、中東のイスラム指導者がテロを断罪したことから、世界の人々と共にテロ犠牲者に哀悼を捧げる祈りの集会が東エルサレム(ダマスコ・ゲート)でありました。
14日の新聞に、フランス大使がパレステイナ人のテロはイスラエル国家に向けられているが、今回のアメリカでのテロは人類に対するものと発言したとの記事がありました。、これは問題です。イスラエル政府は直ちにフランス政府に抗議しました。この様にパレステイナ人のテロを容認するような態度がEUにあり、これがイスラエルでのテロ多発の温床になっていると指摘したいです。 日本発の「KAMIKAZE・TERRO(神風テロ)」はパレステイナ人によって磨き上げられ、ニューヨークで、ワシントンで最大の効果を上げたと言えます。テロを正当化する理由は、どこにも、誰にも、絶対にありません。どのテロも、不特定多数を不意に狙うものとして、人類に対する罪です。原水爆の使用や、化学兵器の使用と同じ様に、禁じなければならないものです。
今回のテロで、問題のアフガニスタンを含めて全世界の国々と、それぞれの宗教指導者がテロを断罪しました。しかし、問題はこれからです。アメリカはテロの黒幕として、オサマ・ビン・ラデインを名指し、所在が確定されれば、身柄引き渡しを強く求めます。拒否されれば、戦争もやむなしと準備に取り掛かりました。NATOは、今回、同盟国アメリカが攻撃されたと解釈し、条約に基づき、アメリカが軍事行動に出るなら、行動を共にする決定をしました。オストラリアとニュージランドも条約に基づき行動することに同意しました。 ところで、私たちの国はどう出るのでしょう。50年前までは、日本は侵略国でした。戦争に負けて、日本は戦争行為はしないと憲法に明記しました。しかし、今、日本を守るとの安全保障条約締結国から協力要請があり、他の友好国からも日本の軍事協力が期待されるとしたら、どう行動すべきでしょうか。憲法の戦争放棄条項をこれまで通りの理解・解釈を固守し、50年来の友好国アメリカや諸外国から「非協力国」と批判されるのを甘受するのでしょうか。
アンジェロ春山勝美神父
|