4月8日、お告げの祭日を祝っています。修道院ミサが終り、食事が済んで間もなく、食堂で出会った院長さんがベトレヘムの小教区事務所から黒煙が上がっていると伝えてくれました。テレビの映像を見て、現場が小教区事務所と自信を持って特定しているのには驚きました。朝日新聞は速報で「フランシスカン、野蛮な行為に抗議」と伝えています。
TheJesuralemPostも速報(10:30)で状況を伝えました。それによると、教会の一角から狙撃され、二人の将校が負傷。煙幕を張って負傷者を救出し、反撃してテロリストを殺害した、と言うものです。
4月2日午後、生誕教会事件が発生したとき、50-60人のガンマンが教会に避難したと伝えました。その後の状況から、彼らは避難してきたのではなく、占拠し、聖職者たちを人質にして立て籠もったと伝えました。6日、イスラエルの新聞はパレステイナ側の主張を伝えています。パレステイナ警察官たちは教会に避難しているのであって、聖職者たちを人質にしているのではないと言うものです。
Ha’aretzはパレステイナ側の主張は、フランシスコ会スポークスマン(メデイアが勝手につけた役職)、DavidJeager神父(フランシスコ会聖地特別準管区、ローマ在住の教会法教授)の言葉に基づくものと伝えています。
私なりに解説するとこのようになります。イスラエル軍の今回の自治区侵攻はテロ基盤と組織の壊滅、それに、テロリストたちの黒幕逮捕、応じなければ殺害が目的です。イスラエルが追求する最重要容疑者が生誕大聖堂に逃げ込みました。生誕大聖堂は神の子救い主イエスキリストの誕生の洞窟の上に、聖ヘレナによって建てられたバジリカ(大聖堂)が最初で、宗教的に、歴史的にもっとも神聖な聖所です。そしてここにはフランシスコ会(カトリック教会)、ギリシャ教会、アルメニア教会の修道院があります。イスラエル軍は、原則として、キリスト教、イスラム教の宗教施設への攻撃は控えています。しかし、ガンマンがこれらの施設に籠り、そこからイスラエル軍を狙撃するならば反撃し、破壊しています。
フランシスコ会は聖所を破壊から守らなければならないのです。すなわち、テロリストが聖職者たちを人質にしたとなれば、イスラエル軍に人質救出の口実を与え、イスラエル軍突入による人命と聖所の被害が予測されます。これは防がなければならないのです。パレステイナテロリストが自発的に武器を置き、投降してくれれば事は治まりますが、彼らが大聖堂に逃げ込んだのは神聖な聖所と聖職者たちを楯にイスラエル軍の攻撃をかわすためでした。また、イスラエル軍がベトレヘムから撤退してくれれば、カトリック、ギリシャ、アルメニアの修道士たち、シスターたちは解放されますし、聖所も被害を受けずにすみます。しかし、イスラエル軍が全世界の非難を浴びながら、ここまで追い詰めた獲物をみすみす見逃すとも思えません。
7日、国際赤十字から人質への食糧補給の申し出がありました。イスラエル軍はこれを拒否しました。兵糧攻めです。
8日のテロリストの発砲が追い詰められ、日増しに募る緊迫感からの暴発的なものか、あるいは、意図的に、イスラエル軍の反撃を誘発させ、「イスラエル軍聖所攻撃」を世界に発信するためだったのか分かりません。イバヒム神父様は聖所内部に大きな被害が出たと話していましたが、被害の場所は小教区事務所です。また、イスラエル軍の検分を許しませんでしたので、被害の精確のところは分かりません。修道院長は沈黙しています。この時期、フランシスカンは沈黙すべきと思います。耳にする談話はフランシスカンがテロリストをかばい、保護していると聞こえます。今後の、フランシスカンとイスラエルの関係が心配です。
このところ、デマが飛び交っています。イスラエル軍が侵攻してきた日、聖堂が砲撃され、ミサ中の司祭と11人のシスターが殺害されたと報じられました。
11人ものシスターが居る修道院はカルメル会ですが、報道されたところと場所が離れすぎています。死亡した司祭の名が公表されましたが、最初はイタリア人、その後はフランス人と訂正されました。そして、最後に、当人は健在と分かりました。イスラエル軍の生誕聖所突入の報道も既にありました。今回の銃撃戦についても、パレステイナ側はイスラエル軍の発砲と報じていますが、イスラエル側は応戦と報道しています。
パレステイナ側の情報に乗せられて、あるいは、意図的に乗って、世界のメデイアは「悲劇のパレステイナ」、「悪魔的加害者イスラエル」を定着させました。
ベトレヘム侵攻後、聖地特別準管区クストスは、修道院が占拠された直後、管区内のすべての共同体が聖体を顕示し、一時間の聖時間を持つように訴えました。公表されているものはこれだけです。
|