パレステイナ過激派がしていること

月5日

アンジェロ 春山 勝美 神父
Fr.Angelo Haruyama Katsumi, OFM
haruyama@netvision.net.il

4月2日(金)午後(現地時間)、イスラエル治安部隊(Border―Police)が神殿の丘、(イスラム教徒にとってHaram esh Sharif)、に突入し、催涙弾を発射しながら暴徒をアルアクサ・モスク(el Aqsa)に追い詰めていく様が放映されました。また、イスラエルの新聞(電子版)では上からの投石におびえる母子や車椅子のユダヤ教徒が介助さえながら避難する写真が載っていました。ヤッシン師殺害の週(3月26日)は年齢制限で問題ありませんでしたが、その日は年齢制限を解いたため、多くの若者が礼拝に参加していました。これらの若者が「パレステイナ、お前をわれらの心と血であがなう。」と叫びながら、下の「西の壁」で祈っているユダヤ教徒に石を投げ出したのです。事件はこのようにして起こりました。派手に報道された映像でしたが、今回は双方に軽い怪我人が出ましたが、当事者の話し合いでその日のうちに事件は解決しました。

最近、メデイアが取上げている問題に、国連パレステイナ難民食糧援助機関(UNRWA)が援助活動停止に追い込まれたということがあります。イスラエルがガザに入る援助物資を運ぶコンテナーの通過制限をするようになったのです。イスラエルの言い分です。3月14日、イスラエル南部の港湾都市アシュドト(Ashdod)で同時自爆テロがあり、10人が死亡する惨事となりました。これまでの自爆テロは都市部でした。それが、セキュリテイの厳しい港湾施設での事件でした。日本でもこの点が報道されました。その後の調査で、自爆者は援助物資を運ぶコンテナーに身を隠し、ガザを脱出し、テロに及んだと分かりました。今、60万もの難民に食料が届けられなくなります。

また、数日前、イスラエル治安部隊がベトレヘムの精神病院に入り、重要テロリスト容疑者数人を逮捕しました。そして、今日4日のエルサレムポストではイスラエル保険相が世界保健機構(WHO)事務局長に書簡を送り、パレステイナ過激派が少年を自爆者に仕立てたかと思うと、精神病院をテロリスト出撃基地にしていると抗議したとありました。

救急車がイスラエル検問で順番待ちしているのに遭遇した毎日新聞記者が「緊張下のパレステイナ人間の尊厳を無視する検問」と記事にしていました。これを知って、エルサレム通信に同じタイトルで取上げました(2003年3月16日)。イスラエル側の発表では、これまで何回か、ボーダーポリスは救急車に隠れ潜んで検問を通過しようとした重要テロリスト容疑者を逮捕したとあります。Intifadaが起きた当初、投石する子供たちに救急車で石を運んだり、過激派に小火器を運んだりしていました。

どこの、どのテロリストも初期の目的達成のために手段を選びません。しかし、彼らが目的達成を果たしたとは思えません。むしろ、彼らのおかげでこれまで享受していた豊かな生活、便利さや自由の制限に直面します。

アメリカはテロとの戦いの一環としてビサで入国する長期滞在者ばかりでなく、ビサ免除の短期入国者からも指紋と写真を撮ると通告しました。

イスラエルはパレステイナ暫定自治政府が過激派の武装解除が出来ず、イスラエル市民に対するテロを抑止出来ないと見て、イスラエル側での保安壁、パレステイナ側での分離壁を建設しています。これにより、土地の分断、家族親戚縁者との分断、エルサレムとの分断が決定的になりそうです。

NHK番組、「その時歴史が動いた(3月31日)」では沖縄中部、西原町の住民半数が戦渦に巻き込まれて死亡した、世界に類のない惨事を取り上げていました。西原町が首里防衛線上に位置していたこと、日本軍が高齢者、年少者を徴兵したこと、軍人が女装して戦車等に近づき自爆したためアメリカ軍が女性といえども容赦しなかったこと等の理由からだそうです。この番組を見て、イスラエルに抵抗するパレステイナが重なりました。人に生命財産を投げ打って「パレステイ国家建設」に駆り立てる指導者をどう評価すべきなのでしょう。日本の反戦活動家がテロ活動の無意味さをパレステイナ人に教えてくれないかなー