クリスマスと新年の祝詞を申し上げます

12月15日

アンジェロ 春山 勝美 神父
Fr.Angelo Haruyama Katsumi, OFM
haruyama@netvision.net.il

この秋、二年ぶりの休暇を故郷で過ごすことが出来ました。これまでと変わらぬ、いや、それ以上の友情とご厚意を実感し、思いを新たに聖地での聖務に戻りました。心から感謝申し上げます。

6日、成田を発ち、その日のうちにテルアヴィヴに着けるのですが、キリスト復活大聖堂には翌朝4時で写真1なければ入れませんので、イスタンブルにホテルを取りました。インターネットのお陰で、旧市街に手ごろなホテルを見付、空港に迎えに出るとの約束を取り付けました。

25年ぶりのイスタンブルです。サンタ・ソフィアを訪ねることが楽しみでした。あの時はモスクがキリスト教聖堂だったと発見されて間もなくでした。キリスト教モザイクを一つ二つ見た記憶があります。ところが、大聖堂内に入ると、誰が見ても、キリスト教聖堂と分かるほどに修復されていました。
写真1はビザンチン王妃が祭儀に与ったギャラリーの席から後陣(apse)のモザイクを撮ったものです。写真2は左側面から撮ったもので、聖母子と大天使ガブリエルです。

写真2 オットマン時代、キリスト教聖堂は破壊されるか、モスクに改造されました。サンタ・ソフィアもモスクに改造された一つです。サンタ・ソフィアは、当初、「神の知恵(Divine Sophia)」と呼ばれ、「サンタ・イ レーネ(聖なる平和)」と共にキリストに捧げられ、コンスタンチノープル総大主教区のカテドラルでした。

この聖堂に入ると、思い出すことがあります。それは、ビザンチン最盛期、時の総大主教ネストリウスが「キリストは人間として誕生した。」とアリウス異端に沿った説教をしたとき、信者が「それはおかしい。」と騒ぎ出した故事です。神学者たちが論じていた「キリスト論」について、十分理解していたとは思えません。

信者は、ただ、マリアさまを「神の母」と呼びなれていました。キリストが人間として誕生したのなら、マリアさまは「人の子の母」で、「神の母」でないことになる。そして、キリストについての理解が統一され、ネストリウスは異端者として、コンスタンチノープル総大主教職を剥奪され、追放されました。この事件は、教会を生み、育てる「聖霊」が信心生活に、素朴に生きる信者にも宿り、特定の聖職者や神学者の過ちを正した事例となりました。

このクリスマスにあたり、マリアさまが神の子を宿し、産み育てた「神の母」であると、同じ聖霊の恵みによって深く実感できるように祈ります。そしてよい年をお迎えください。